※終業式の日に本校集会でお話した内容です。
「個人攻撃の罠」という言葉をご存知だろうか。行動分析の言葉であるが、行動変容を求める手立てを行うのではなく、「家庭的に保護者が難しいから」や「あの子は変わらない」、「担任団が悪い」「協力を得るのが難しい」など、人のせいにして十分な手立てを施さないことを「個人攻撃の罠に陥る」という。
本校には無縁かもしれないが、個人攻撃の罠に陥らないため、私の事例をもとに上げたい。14年間の教員生活の半分は行動上大変と言われる子どもを担任してきた。私の教員人生の価値観を変えたのは約25年前に知り合ったsさん。高等部の3年間を担任していた。IQの程度でいうと40程度ある自閉症を合わせ有する生徒であった。高1の終わり頃から、家庭で大変ということで登校がままならなくなった。
学校に登校しても、トイレに長時間こもったり、特定の職員をみては、興奮したり、小学部など、小さい子どもの声に反応しては大きなトラブルに発展していた。体重が100キロある生徒であり、一度トラブルが起こると、モノは壊れ、人は怪我をする、気持ちも折れる、そんな毎日であった。どういった状況でトラブルが起きているかデータをとったところ、特に多かったのが、給食の時に特定の職員を見かけ追いかけ回すということであった。
食べることが大好きなsさんであったが、データに基づき、私は担任として学部主事と管理職、保護者に給食を止めて、自炊すること、日課は集団とは別日課を原則とすることを提案し、了承を得た。基本的には別室対応で、1-1の指導を行い、例えば、うどんを作るとなれば、朝から小麦粉を踏み、生地を寝かす時間には課題学習を行ったり、軽作業を行った。教育課程上の位置付けは自立活動を中心とした。
食費は保護者から月に1万円負担してもらった。この取組から学んだことは、活動で支えることです。知的障害と自閉症や発達障害を持つ子どもたちに私たちの正論をぶつけても、こちらが期待している行動をすることは難しい場合が多い。自然発生的に望ましい方向に行動変容することは、ほぼない。だとしたら、問題行動が起きにくい状況づくり、すなわち問題を起こすからこそ、具体的な活動で子どもの行動を支えることの大切さを学んだ事例です。
この事例には続きがあって、月曜日から金曜日まで、担任である私がsさんを個別で見ることは他の生徒もいることから難しかった。そのため、学級付き、学部付きの先生が同じ取組を行うだけでなく、小さな子どもを不用意に近付けないなど、他学部の先生にも自分ごととして、協力をいただいた。
具体的な方針のもと、子どもを行動で支えるうえで、チームで取り組むことの重要性を学んだ取り組みであった。こうした取組の結果、問題行動が激減し、卒業時期には問題行動も激減し、行事への参加や一部の授業には集団参加が可能な状態となり、進路も決定した。
本校には、様々な背景を持つ子どもが在籍している。本校では年間約1,000時間の授業時数を配当し、指導を行っている。3年間で3,000時間、6年間で6,000時間、12年間で12,000時間である。この貴重な時間が「個人攻撃の罠に陥らないよう」また、本校の教育が次のステップに進むためには「学校が楽しい」と子どもが感じる授業づくりが重要になると考えている。
教員時代の私が管理職や周囲の先生方に協力いただいたように、積極的なアプローチは特別日課も含め、校長として応援したい。これまでの指導を振り返っていただき、「子どものために、チームとして」必要に応じて2学期以降の実践を改善してほしい。
令和8年度の七飯養護学校では「子どもを真ん中に」を合言葉に、保護者や地域の皆様と共に歩む学校づくりを進めてまいります。
学校経営方針を具体化するため、教職員のプロジェクトチームを中心に本年度の教育活動のグランドデザインを策定しました。