特別支援学校の授業において、教師が発する「言葉」は、単なる指示ではありません。
それは、子どもたちの学びを支える「足場」であり、意図を持った「教材」でもあります。
同じ場面でも、「今日、この子に何を学んでほしいのか(ねらい)」によって、言葉掛けは180度変わります。その具体例をいくつかご紹介しますので、普段の授業や個別の指導計画作成の際に役立ててください。
例1:着替え(シャツのボタンを留める場面)
◇ ねらいA:衣服を整える「手順」を定着させたい
・言葉掛け:「次は下から2番目だよ」「穴を見つけてごらん」
・解説:手順を視覚化・具体化し、成功体験を積み重ねることを優先します。
◇ ねらいB:手指の「巧緻性(器用さ)」を高めたい
・言葉掛け:(あえて言葉を減らし)「……(じっと見守る)……あ、つまめたね」
・解説:自分で試行錯誤する時間を確保するため、あえてヒントを最小限にし、自力で指先を使った瞬間を逃さず認めます。
例2:制作(のりを使って紙を貼る場面)
◇ ねらいC:のりの「適切な量」を知ってほしい
・言葉掛け:「アリさんの涙くらい、ちょんってつけてみようか」
・解説:「適量」という曖昧な概念を、子どもがイメージしやすい比喩に置き換えて伝えます。
◇ ねらいD:相手に「助けを求める(依頼)」力を育てたい
・言葉掛け:(のりを少し遠くに置いて)「……あれ?届かないね。どうする?」
・解説:困った状況をあえて作り出し、「手伝ってください」「のり、取ってください」と言い出せるきっかけを待ちます。
例3:体育(サーキット運動で平均台を渡る場面)
◇ ねらいE:身体の「バランス感覚」を養いたい
・言葉掛け:「おへそに力を入れて、前を見よう。そう、かっこいい!」
・解説:姿勢を維持するための身体感覚に意識が向くような言葉を選びます。
◇ ねらいF:「ルールや順番」を守る社会性を育てたい
・言葉掛け:「〇〇君が渡り終わったら、次はあなたの番だよ。……よし、スタート!」
・解説:動作の質よりも、他者との距離感や「待つ・交代する」という社会的な枠組みに焦点を当てます。
私たちは「言葉のプロ」でありたい
このように、私たちは一つの動作に対して、常に「今のこの子には何が必要か」を問い続けています。何気ない言葉掛けを点検する機会としてください。
令和8年度の七飯養護学校では「子どもを真ん中に」を合言葉に、保護者や地域の皆様と共に歩む学校づくりを進めてまいります。
学校経営方針を具体化するため、教職員のプロジェクトチームを中心に本年度の教育活動のグランドデザインを策定しました。