ブログ

2026年7月の記事一覧

#49 次期学習指導要領を見据えた「自立活動」のアップデート(令和8年3月23日)

~「資質・能力」を育むための、個別の指導計画の再定義~

次期学習指導要領に向けた議論が深まる中、私たち特別支援教育に携わる者にとって、その中核となるのはやはり「自立活動」の充実です。アンケートでも「ICF(国際生活機能分類)との関連」や「PDCAサイクルのスパン」について熱心な記述がありました。

 自立活動を、単なる「訓練」ではなく、子どもの「一生の資質・能力」に繋げるための視点を整理します。

1 「三つの柱」を自立活動に落とし込む

次期改定でも重視される「資質・能力の三つの柱」を、自立活動の文脈で捉え直してみましょう。

・知識及び技能:自分の障害の状態を理解し、どのような補助具や手立て(合理的配慮の要求を含む)が必要かを知っていること。

・思考力、判断力、表現力等:直面した困難に対して、「どうすれば解決できるか」を考え、他者に助けを求めたり、方法を調整したりできること。

・学びに向かう力、人間性等:失敗しても「次はこうしよう」と思える自己肯定感や、自立への意欲を持つこと。

2 「社会モデル」は医療モデルを内包したもの

アンケートに「ICFと自立活動の関連」という意見がありました。自立活動の目標設定において、ICFの視点は欠かせません。

・医療モデル:「歩けないから、歩けるように訓練する(身体機能の改善)」

・社会モデル(ICFの視点):「歩きにくくても、車いすや環境調整を使って、みんなと一緒に活動に参加できる(活動と参加)」

自立活動の目標を「機能の回復」だけに置くのではなく、その先の「社会の中で何ができるようになるか(参加)」に置くこと。これが、次期指導要領が求める「社会に開かれた教育課程」の第一歩です。

3 「自立活動の流れ図」を形骸化させない

「短時間で設定できる方法」を求める声もありましたが、大切なのは「書く作業」の速さではなく、「仮説の精度」です。

・実態把握(なぜできないのか?):身体的な要因か、感覚的な要因か、それとも環境の要因か。

・指導目標(どうなりたいのか?):1年後の姿だけでなく、18歳(卒業時)の姿から逆算できているか。

・手立て(何をするか?):学校の授業だけでなく、家庭や地域でも「般化」できる再現性のある手立てか。

 4 合理的配慮と「合意形成」のプロセス

次期指導要領では、合理的配慮の提供がより具体的に求められます。自立活動で身に付けた力が、そのまま「合理的配慮を自分で求める力(セルフアドボカシー)」へと繋がっていく。この一貫性が、個別の指導計画の質を高めます。

【自立活動の「PDCA」を活性化させる問い掛け】

・「その目標が達成されたとき、その子の『暮らし』はどう豊かになりますか?」

・「学校での特別な指導(自立活動)で学んだ内容をそれ以外の時間で使えていますか?」

・「この目標設定に、本人や保護者の『願い』はどれくらい反映されていますか?」

  自立活動は、私たち教師の専門性が最も発揮される領域です。「流れ図」を埋めることが目的にならないよう、常に「子どもの未来の姿」を職員室で語り合っていきましょう。