ブログ

2026年7月の記事一覧

#40 指導観のズレを「チームの強み」に変えるには~マルトリートメントを防ぎ、誰もが安心できる教室・職員室へ~(令和8年1月26日)

2学期のアンケートでは、多くの熱心な意見をいただき、ありがとうございました。その中で、私の心に残った切実な声があります。それは、「先生によって指導の口調や考え方が異なり、戸惑うことがある」「教室でのきつい指導を見かけると苦しくなる」というものです。

特別支援教育は、正解が一つではありません。だからこそ、現場で起こる「指導観のズレ」にどう向き合うかが、私たちの専門性を左右します。

1 「正しさ」のぶつかり合いから「子どもの反応」へ

私たちは皆、「子どものために」という強い熱意を持っています。しかし、その熱意ゆえに「自分のやり方こそが正しい」と、正しさのぶつかり合いが起きてしまうことがあります。そんな時こそ、主語を「私」から「子ども」に入れ替えてみませんか。

•        「私の指導に従わせる」ではなく、「今の関わりで、あの子に安心感(または学び)は生まれているか?」

•        「あの先生のやり方は違う」ではなく、「あの関わりに対して、あの子はどう反応したか?」

「子どもの事実」を共通の物差しに据えることで、感情的な対立ではなく、建設的な「検討」が始まります。(次回へ続く)

#39「伝わるのは『言葉』以上に『声の温度』」〜安心感を与える関わりについて〜(令和8年1月20日)

  前号では「さん」付け呼称をお伝えしました。今号では、私たちがさらに意識している「声の大きさ」や「抑揚(トーン)」、つまり「伝え方」について触れます。

1 感情をぶつけない「適切なボリューム」

人権に配慮した指導の第一歩は、子どもの恐怖心を煽らないことです。大きな声で怒鳴ることは、一時的に子どもを従わせることはできても、心の奥に届く「納得」や「自己肯定感」を奪ってしまいます。

〇 人前で叱らない: 必要な指導は、相手のプライバシーに配慮し、落ち着いたトーンで静かに伝えます。

〇 安心の距離感: 威圧感を与えないよう、目線を合わせ、適切な声の大きさで語り掛けることを職員間で徹底します。

2 「肯定」を乗せる抑揚(トーン)の工夫

同じ「さん」という呼び方でも、語尾が上がれば「期待」になり、語尾が下がれば「威圧」になります。

〇 「褒める」は明るく、弾むように: 子どもの「できた!」に共鳴するよう、声に表情をつけて喜びを伝えます。

〇 「諭す」は穏やかに、低く: 何がいけなかったのかを考える場面では、感情を抑えた一定のトーンで話すことで、子どもが冷静に自分の行動を振り返る「心の余裕」を生み出します。

3 「否定の言葉」を「お願いの言葉」へ

「ダメ!」「やめなさい!」という鋭い響きは、子どもの思考を停止させてしまいます。さんを付けた上で「〜してくれると助かるな」「〜するともっと良くなるよ」といった、語尾を柔らかくしたメッセージに変えることで、子どもは「自分を否定された」のではなく「行動のヒントをもらった」と受け止めることができます。

#38 「一人ひとりを尊重し、自信を育む学校へ」〜『さん付け』から始まる新しい関わり〜(令和8年1月16日)

 先日の学校評価と職員会議では、「児童生徒一人ひとりの人権を尊重し、自己肯定感を高める指導」を教育の柱として再確認しました。子どもたちが「自分は大切にされている」「自分には良いところがある」と実感できる環境づくりの一環として、学校生活における「さん付け」呼称を徹底します。

 なぜ今、「さん付け」なのか。

1 「尊重」を形にする第一歩

 子どもたちを一人の人間として尊重し、敬意を払う。これは人権配慮の基本です。 日常の何気ない呼び方から見直すことで、教職員と子どもたち、あるいは子ども同士の間にも、温かく、適切な距離感のある礼儀正しい関係性を築いていきたいと考えています。教師は子どもたちのモデルです。子どもの前で教師間が声を掛け合うときは「先生」と呼ぶことも同様です。

 

2 「褒める言葉」を真ん中に置くために

 私たちは、指導の原則を「指示・命令」から「承認・称賛」へとシフトしていきます。 「〇〇しなさい」と先回りするのではなく、子どもが自ら気付いて行動するのを待ち、その過程や努力を「さん」と呼んで丁寧に認める。そんな「褒める言葉」が溢れる学校を目指します。

 

3 社会へのつながりと「自己肯定感」

 学校は、子どもたちが社会へと羽ばたく準備をする場所です。 相手を尊重する呼び方を習慣化することは、将来の社会生活における基盤となります。自分の名前が丁寧に呼ばれる経験の積み重ねは、「自分は認められている」という自己肯定感に直結し、それが得意なことを伸ばすエネルギーに変わっていきます。(次回へ続く)

#37 初任者授業研で感じたこと(令和7年12月16日)

◇ できる状況づくりについて

・全体への分かりやすい指示、十分な学習量が保たれている(待たされている生徒がいない!)。また、一つの曲を題材に様々な角度からアプローチし、目標に迫る指導は知的障がいのある生徒の学習上の特性を踏まえると効果的であり、「活動の質」を高める上で、多くの教員が参考になる。

・「そう!」「きれい」「すてき」「ばっちり」などポジティブな言葉のオンパレードは、子どもたちのモチベーションアップにつながる。

・MTのポジショニングは生徒全員を見渡せる位置が理想。10名ほどの生徒を横一列に着席させるなら、1メートルほど距離をとるか、扇形に座らせた方がよい。

◇ 指導・支援の在り方について

・授業の終末で、MT教師が振り返りの見本を示したことにより、生徒の発言も目標に関連した振り返りになっていた。Aさん「元気よく」Bさん「静かに」Cさん「楽しく」などの発言は、和音Ⅰ、Ⅳ、Ⅴのキーワードであり、本時の目標を達成した根拠になるのではないか。

・STからの振り返りも、本時の目標を取り上げながら、生徒の具体的な姿を評価していて素晴らしいと思った。

◇ 学びの連続・般化

・単元計画を立案することの大切さを感じた。

・活動内容に惑わされず、指導内容を突き詰めていくことの大切さを感じた。

・子ども自身が楽しいと思う授業が増えることが、余暇や家庭生活の充実につながる。

#36 特別支援学校の課題を考える(令和7年12月1日)

 #17でも触れましたが、全国の現状から次のようなことが課題として示されています。

【学校経営・授業改善では】

・障害の「社会モデル」の考え方も踏まえた学校経営や授業づくりが特別支援学校にも求められているが、全ての教師に考え方が浸透しているかどうかについては課題がある

・障害により生じる困難さに対応しつつ、子供たちの資質・能力を育成するための授業づくり、各教科等の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善は、多くの特別支援学校において道半ばの状況

【自立活動では】

・自立活動の時間の指導と各教科等の指導の関連付けや、自立活動に係る実態把握から指導目標・内容の設定までのプロセスや考え方の浸透が不十分

・教師主導型の自立活動の改善も課題

【知的障がいの各教科】

・小・中・高の学びとの連続性の確保を図りつつ、知的障害の特性や発達の段階等を踏まえた対応が必要

 

 本校・分校とも学校評価や年度末反省の時期を迎えました。「チームで子どもたちのために」こうした視点も含めて検討してほしいと考えています。