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SEVEN☆RICE~ぼちぼちいこか

#33 ある学校のすごい話(令和7年11月10日)

 ある研修会で聞いたすごい学校の話を紹介します。その学校では講師を呼んで校内研修を実施する際、その講師から研修の2ヶ月前に研修資料をもらうそうです。資料だけでなく、関連する書籍、論文などを講師から指定してもらい、職員全員が読み込みを行うそうです。

 そして研修当日、例えば90分の研修であれば、冒頭の20分程度で講師の話を終え、その後の60分は先生方が講師に質問をぶつけ、暗黙知を形式知に変えたり、質問に関する考え方などの共通理解を図っているそうです。

 そして最後の10分は講師に話し足りないことを説明してもらうそうです。この学校が行っている研修のスタイルは、一般的な受講型の研修に比べると、学びの質が異なると思います。このスタイルを経験した講師はタジタジになったと話していました。

 この学校の特徴は、教職員の自主・向上性と同僚・協働性が高く、学校全体の教育実践の方針に教員個人の教育実践が位置付き、チームワークを考えながら個人の能力を発揮している状態であり、教職員一人一人の意識や組織力の高さは言うまでもありません。同じ時間をどう使うか、研修や会議の持ち方を考えさせられる機会となりました。

#32 学校の組織力向上を考える(令和7年11月4日)

本校・分校の職員会議で話した内容です。

 この半年を振り返ると、本校では、文科省のインクル事業で素晴らしい交流及び共同学習や、地域食堂と温かみのある連携など。

 また、分校では、石別大運動会の参加種目の拡大や、今金町での居住地校交流など、これまでの取組が充実したものもあれば、新たな取組となったものがある。

 改めて先生方への感謝をお伝えしたい。

 今年度も残り、半年を切った。本校・分校の素晴らしい教育活動を如何に持続可能なものとし、発展させていくか。その際、今年度の重点である「チームで」というファクターを通して評価していくことが重要であると考えています。

 「チームで」=集団を意味しますが、今年度の先生方の取組の様子から、本校では、様々な背景のある子どもたちに対するケース会議が行われ、困難を解決するための建設的な話し合いがもたれていた。また、分校では、あおいそらのコンサルテーションを通して、子どもたちへの指導・支援が充実してきたことは、評価すべき内容と考えている。

 ここまで個にスポットを当てて、子どもたちのために取り組んでいる学校は少ないのではないか、本校・分校とも校長として誇らしく思うと同時に、次のステージ

・全職員が学校経営に主体的に取り組む段階

・全職員でより組織的に取り組む段階

にチャレンジするべきではないかと感じている。

 評価の話に戻りますが、学校では一般的に、授業や行事などその時々の評価や、時期に応じて実施する年度末評価、学校評価があります。これらの評価は、そのものの善し悪しを評価したり、具体的に改善することには適していますが、組織そのものを評価することは難しいという側面があります。

 どういう組織が、望ましいか。それは、令和の日本型学校教育などを踏まえると、変化の激しい社会、多様化する様々な問題に対応できる組織です。学校は従来から鍋蓋式の組織と言われることが多いのですが、鍋蓋式の組織では、様々な課題を解決したり、変化を受け入れたりすることが難しいと言われています。

 今求められている組織は全ての教職員が自主性や向上心と同僚性と協働性を兼ね備えている、自走する学校組織です。それは、全ての先生が教職に対して、やりがいと幸福を感じるウェルビーングな組織を意味します。

 組織を評価するといっても、学校と一般企業では、その性格も異なることから、企業とは方式が異なります。そのため、早稲田大学の河村先生が開発した尺度を用いて本校・分校の組織の状況を分析し、可視化することやホワイトボード・ミーティングの手法を用いて、コミュニケーションを高めたり、経験値や暗黙知を標準化するなど、先生方の所属意識がさらに高まる「職員全員が活躍できる組織」を目指したいと思います。

 こうした取組は、学校教育目標や目指す学校像など、根幹部分の見直し、教育課程の改善や分掌業務或いは配置人数の見直し、PDCAを前提とした諸会議の実施やゆとり時間の確保など、検討すべきことは多岐に渡ることも想定されますが、チームで、子どもたちのためにあるべき組織の姿を共有したいと思っています。

#31 居住地校交流の取組を考える(令和7年10月27日)

 今年度から分校で実施している居住地校交流について紹介します。居住地校交流とは特別支援学校に在籍している子どもが、本来通うはずだった地域の学校と交流及び共同学習を行うことです。今回の取組は、保護者の意向はもとより、分校と相手校の先生方の協力、そして子どもの居住地である町教育委員会の全面的な支援(分校から居住地までの送迎、発達支援センター職員が子どもを支援、保護者との連絡調整など)で実現したものです。

 町教委の方に話を聞くと、「町の子どもは町で育てる!」「学ぶ学校(場)が異なっても、町の子どもには変わりない!」とのことです。

 こうした熱い想いのもと、実施された1回目の居住地校交流では、小学校の玄関をくぐることに長い時間を要しましたが、町職員を始めるとする大人の粘り強くも温かい対応と子どもたちの働き掛けにより、レクレーションや給食など有意義な活動を体験することができました。

 そして2回目の交流は、前回と比較にならないほどスムーズに学校に入り、体育の授業に参加し、給食を食べました。体育の授業では①ラジオ体操②柔軟体操③枕(クッション)投げ④転がしドッジボールで構成された45分の授業に参加しました。これは特別支援学校の課題である豊富な学習量が用意(#01と関連)されていて、我々も学ぶべきことがたくさんあると思いました。また、本児の支援に当たっている町職員の関わり方(#02と#23と関連)ティーム・ティーチングが素晴らしかったです。さらに#30でも触れたように、たくさんの見本があるので、列に並んで話を聞いたり、集団に合わせて行動したりする場面が多く、参観した保護者は本児の成長と就学前まで一緒に過ごした子どもたちと共に学べる環境を喜んでいました。

 本児は町教委から副学籍の扱いを受けています。教室には本児の机やロッカーも整備されており、学習環境も整ってきました。

 居住地校交流は全国的に進んでいますが、北海道の学校は広域分散型などの地理的条件から、実施しているケースは少なく、分校と町教委の取組が最先端です。

 今後、本校・分校に通う子どもの保護者が居住地校交流を希望する可能性もあります。「子どもたちのために」を合言葉に本事例から学び、成果や課題等を整理していけたらと考えています。

#30 集団の力を考える(令和7年10月21日)

 本校中学部2年生が七飯中学校の学校祭に参加しました。#22、#24で紹介した音楽の授業で取り組んだ手話歌「翼をください」です。中学校の生徒が作り出す(お手本があちらこちらにある)雰囲気もあり、普段の授業では、手話をしない生徒が手話をしたり、いつもより大きな動作をしたり、しっかりと歌ったり、本校の生徒も普段の音楽の授業の時よりも素晴らしいパフォーマンスを発揮していました!

 学校祭に向かうまでの単元にブレがなかったこともあり、これまでインクル事業で課題となっていた共同学習の側面を克服し、3観点で評価できる取組となりました。

 また、これまでの積み重ねがあるから、生徒同士が安心、信頼して関わり合うなど交流の側面もしっかり果たしていたことは言うまでもありません。

 これまでも触れてきましたが、まずは集団を重視した授業が基本であり、その上で個別に配慮することの大切さ、集団の持つ力の可能性を改めて感じた瞬間となりました。

#29 新たな取組を評価する(令和7年10月15日)

 本校高等部2年生が、今年度の新たな取組として、渡島振興局と町内の果樹園に御協力いただき、農福連携(りんごの葉摘)に取り組みました。

 本取組の良かったこととして3点。

 1点目は単元計画を立てて取り組んだこと。特別支援学校の十八番と言える事前学習では、オーソドックスな行き先や活動内容に留まることなく、七飯町の産業やりんごの品種など、様々な実態の生徒に適した事前学習であったこと。また、事後学習では単なる活動の振り返りにとどまらず、自分の言葉で手紙を書いたり、事前学習で調べた品種による味の違いを確認するなど、単元をとおした学習活動であったことが評価できます。

 2点目は#01でも伝えていますが、十分な作業量が保障されていたこと。実際に30分×2セットの授業でしたが、生徒はミルミル内に上達していきました。また、りんごの葉摘が難しい生徒には、落ちているりんごを拾うなど、個に応じた活動が提供されていたこと。その成果は果樹園の方へのお礼の場面で、ただ「がんばりました」というだけでなく、何が良かったのか、難しかったのは何かなど生徒が自分の気持ちを言語化していたことからも明らかです。

 3点目は様々な方から助言いただいている、体力を高める内容であったこと。計60分の立ち仕事をこなし、帰りの道中も歩いて帰ってきたこと。本物の作業体験をした生徒は自信と充実感に溢れ、頼もしい姿でした。

 これから期待したいことは、貴重な本物の経験を次年度の教育課程に反映していくこと、普段の作業学習の当たり前を見直すことです。貴重な経験をした先生方は、答えは地域にある、生徒の気持ちを揺さぶることが大切と感じられたのではないしょうか。今後の教育活動(教育課程)に「つながり」「つなげる」ことの大切さを学んだ1日でした。

#28 教育課程の改善・充実を図る(令和7年10月6日)

 早いもので、今年度も折り返しました。そんな中、9月26日には分校で、27日には本校で学校運営協議会を開催し、委員の皆様から貴重な意見を伺いました。

 分校は本校より早くCSに取り組んでいることもあり、石別地区の大運動会やトラピスト修道院のライトアップなど、様々な教育活動がすでに教育課程に位置付いています。

 本校は地域食堂との連携や沖縄文化に触れる学習など、昨年度よりも取組が充実してきています。

 CS委員は学校運営に関する意見を校長に述べることができます。

 分校の委員からは「ライトアップの時に紙漉き製品を置けないだろうか」、本校の委員からは「今年度の取組を継続できるようにしてほしい」と意見をいただきました。今年度に関しては、こうした取組を試行的に行うことになりますが、活動ありきではなく、様々な活動を通して子どもの資質・能力を高めていく必要があります。そのため、持続可能で発展的な取組となるよう、教育活動の成果を次年度の年間指導計画(教育課程)に位置付けてほしいと考えています。

※ 本校の学校運営協議会では、高等部の生徒が調理学習で作ったスイーツを委員の皆様に出してくれました♪生徒が自己紹介し、調理でがんばった点を説明するなど、委員にとっても生徒にとっても素敵な時間になりました!

#27 褒め方を工夫する(令和7年10月2日)

 子どもを褒めるときの方法は、望ましい行動をしたときに、①お菓子など具体物を使う②ハイタッチなど身体接触で褒める③言葉で褒める④トークンを使って褒めるなど、様々あります。この時注意してほしいのが、これらは、褒められた後、記憶にも記録にも残らない可能性があります。

 私は教員時代、支援ツールで有名な武蔵博文先生から教えてもらったのが、チャレンジ日記です。係活動や作業学習などでがんばったことに対して、子どもが文字で書いたり、シールを貼ったりします。そのチャレンジ日記を授業の場面で使ったり、家庭に持ち帰らせたりすると、学校でも家庭でも褒められる回数が格段に増え、がんばっていることなどが周囲の人に伝わります。また、記録に残るので、子どもが自分で見返す場面も出てきます(当時は紙面でしたが今はICTの活用もできるかも知れません)。ポイントはひとつのファイルに集約することです。

 ひとつの行動を多様な方法、多様な場面で、子どもを褒め、自己肯定感や学習に対するモチベーションを高めることが大切だと考えています。

#26 家庭への般化を考える②(令和7年10月1日)

 子どもたちの大好きな調理学習。私も教員時代よくやっていました。ホットケーキを作ったり、ドーナツを作ったり、子どもたちが喜ぶものをたくさん作った記憶があります。

 そんな調理学習ですが、河嶋淳子先生(医師を辞めて、重度自閉症の子どもを育て、愛媛県で長年にわたって独自の療育を実施)の療育センターを伺い影響を受けました。

 ざっくりというと、調理を通して「指先を育てる」「レシピを見て(読んで)指示に従う」です。

 子どもたちの中には、指先の器用な子もいれば不器用な子もいますが、低学年のうちから包丁やピーラーなど、実践的な調理器具を使います。包丁で切ったり、ピーラーで皮をむいたりすることは、結果も分かりやすく、子どもたちも喜んで取り組みます。

 調理器具をもつ「危なさ」は、子どもたちが一番理解しています(留意点としては、包丁やピーラーを研いで、よく切れる状態にしておくことです!切れない包丁を持つと力が入って危険です)。

 指示に従うという点では、例えば、炊飯や味噌汁づくりから始めました。水の量を間違えるとご飯も味噌汁も美味しくできません。レシピに書かれている〇合や〇CCの指示はあいまいさがなく、美味しくできる=結果も分かりやすいです。

 

 こうした活動は、家庭でも、保護者の手伝いにつながったり、将来の自炊にもつながります。ねらいを明確にして楽しく学習に取り組んでほしいと考えています。

#25 家庭への般化を考える①(令和7年9月29日)

 知的障がいや自閉症のある方は、一般的にある場所で身に付けた知識や技能等を別の場所で発揮することが難しいことがあります。

 例えば、学校の係活動として洗濯物をたたむことに取り組んでいる子どもがいると思いますが、家庭に般化することのできる取組になっているでしょうか。

 私は教員時代、学校研究の一環として、全家庭に担任が訪問し、家庭で行えるお手伝いを指導することに取り組んだことがあります。

 その時驚いたのが(ある意味当然ですが)、「タオルをたたむこと」1つをとっても、端と端を合わせて文字通りタオルをたたむ家庭もあれば、1回たたんでタオルをまるめるなど、家庭ごとにその方法が異なるということです。

 学校で取り組んでいる方法を家庭に押し付けても、迷惑を掛けてしまうこともあります(実際に「このたたみ方は困る!」と怒られたこともあります)。

 学校での成果を家庭につなげるためには、懇談などの機会を通じて、あらかじめ家庭でのやり方や好みを聞いて指導を行うことが早道のように思います。

#24 教育活動を通して資質能力を育成する(令和7年9月25日)

 昨日の校内研究で話した内容です

今年度春の職員会議で中学部2年生が七飯中学校の体育大会に参加した映像を見てもらいました。そして、今は学校祭の参加に向けて取組を進めています。春と秋で何が違うか。

正直、体育大会の時は、体育で目標を立てて、出向きましたが交流することがメインとなっていました。しかし、学校祭に向けては、単元計画を作成するなど、教科のねらいを達成する共同学習へと変容しています。セブンライスにも記載しましたが、単元を見通した上で、どのような力を付けていくか、どのタイミングで映像を見合うなどの間接交流と学校祭本番の直接交流を行うか。中学校音楽との学びの連続性を意識するなど、交流及び共同学習を行うことを目的とせず、生徒の学びを促すための手段としていることが、今年度の中2学年団の大きな成果だと考えています。

先日中2の先生とこうした成果を共有した上で、ある先生に、音楽で単元を見通した指導ができたわけですから、例えば作業学習など他の授業でもできないの?といったやりとりをしましたが、今年度の重点のひとつに掲げている「根拠に基づいた授業づくり」を全ての学部、学級で目指してほしいと考えています。

 現中2の昨年度と今年度の取組を振り返ると、1年生の時は交流中心、2年生で共同学習中心で整理することができると思うが、じゃあこの成果をどうするか。

 具体的には

・中学部としてどうしていくのか、小学部や高等部はどうしていくのか。

⇒ 「つながり」や「つながる」、「ともに学ぶ」といったキーワードは次年度の学校経営の柱になる可能性があるとも考えています。

 是非、各学部や総務、教務等関係分掌で話題にしていただき、次年度の教育課程改善に向けた検討をお願いします。

  その際、布施先生の視察報告にもありましたが、高校も含めた町内の学校とビジョン(理念)を共有していくことが重要と考えています。8月に実施した合同研修会で教育大の杉本先生から、PBSの考え方を御教示いただくとともに、行動マトリクスについて提案いただきました。

 ビジョンを共有するに当たって、行動マトリクスは効果的なツールになり得ると思いますので、こうしたことについて、研究部を中心に校内研修でまとめ、発信していくことなどを期待しているところです。

 最後に、交流及び共同学習に限らず、あらゆる教育活動を行うことを目的にするのではなく、様々な活動や取組を通じて新たな価値を生み出す、新たな価値に基づき次のチャレンジをしていく、そんな好循環を学校全体で目指したいと考えていますので、引き続き先生方の主体的な取組をお願いします。

#23 MTとSTの役割を確認する×やりとり機会を創出する(令和7年9月22日)

 ティーム・ティーチングを少し工夫するだけで、子どもの成長を促すことができます。ここでは、#02と#14、#15に関連して説明します。

 体育で体操する場面や音楽で手遊びなどを指導する場面を観察していると、図右上のような指導体制で子どもの動きを引き出そうとしている様子を見掛けます。この場合、T2の先生がT1の先生と同じ動きをしていても、子どもからは見えないので全く効果がありません。右上で子どもの動作を促すのであれば、T2はT1への注目を促すことと、子どもが適切な動作が行えるよう、身体的プロンプト(介助ではなく、気付きを促す)を出すことなどが求められます。

 また、動作はまだぎこちないけれども、みんなの前に立って「お手本になりたい」というモチベーションの高い子どもがいる場合には、図中央のような指導体制でT3の先生がモデルを示して、C1に手掛かりを与えることが有効であり、子ども同士のやりとり機会にもつながります。

  さらに、全体指導でT1を注視することが難しい集団や、集中的に技能を高めたい場合には、図下のように複数の先生が前に出て、子どもの動きを引き出した方が活動のねらいに即した指導を行うことができます。

  普段何気なく行っているティーム・ティーチングは、とても深い指導方法です。今一度、学級や学年で打ち合わせるなど、チームで子どもたちの成長を促していきましょう。

#22 「質」と「量」を考える×MTとSTの役割を確認する(令和7年9月16日)

 七飯中学校学校祭の舞台で披露する中学部2年生の音楽(手話歌「翼をください」)の単元が始まりました。ここでは、#01と#02に関わる内容を中心に説明します。

 授業は、発声、音に合わせた動き、手話歌・・・と進むのですが、どの活動も活動量が十分に確保されていること、MTの全体への指示が明確で、発問や指示を出すときの声の強弱、テンポも工夫していました。また、STは生徒がMTに注目できるような働き掛けに徹していて集団の授業として理想の形となっていました。

 授業を行う上で大切なのは、集団全体に分かりやすい指示や手掛かりを行うこと、十分な学習量を保障することです。その上で個別の配慮を行い、活動の質を高めていくことが基本です。

 興味のある先生は中2学年団に相談の上、参観し、この授業の良さを体感してください。

 

 また、本実践のよいところは単元計画を定め、単元初期の授業は「知識・技能」が高まるよう、活動量を十分に確保しています。単元が進むにつれて「思考力・判断力・表現力等」に関わる指導を行うなど、単元をまとまりとして捉え、育成すべき資質・能力を生徒が身に付けられるよう学年の先生方が共通理解を図り、指導を行っていることです。手話歌「翼をください」の題材は毎回取り組んでいますが、授業ごとのねらいに応じて、指導内容が異なるので、生徒も生き生きと活動しています。

 

 その結果、音楽の楽しさを子どもが感じ、授業を重ねるうちに、大きな声で歌唱する生徒や歌に合わせて、大きな動作で手話をする生徒が増えるなど、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」が高まってきており、今後が楽しみです。

 

 好事例を参考にチームで専門性を高めていくことを期待しています!

 なお、個別の指導計画にかかわり、前期の評価や後期の目標を立てている時期だと思います。分校の湯谷教頭が研修で学んだ内容をまとめていますので参考にしてください。

#21 教材の使い方にもステップがある×やりとり機会を創出する(令和7年9月8日)

 プリント学習に取り組んでいる子どもはたくさんいると思いますが、ただ問題を解くことだけにとどまっていませんか。ここでは#05、#14、#15に関連する本校小学部6年生の取組を紹介します。

 当該児童は解が3桁になる足し算に取り組んでいます。1枚のプリントに16問の問題(横に4問、縦に4問)が準備されており、声に出しながら先生と確認しながら取り組んでいて、筆算の要領がつかめてきたところで、1列(4問)の解の中で、「一番大きい数字は?」「一番少ない数字は?」といった発問を行いました。機械的に計算ができる子どもはたくさんいますが、このように算数がもつ面白さ、数量の概念を常に確認しながら、課題に取り組むことは、金銭や買い物、時刻と時間の学習にもつながります。

 

 また、計算と数の大小概念を確認した後、声を出さずに計算することに取り組みました。頭の中で計算し、答えを出すことは一見簡単そうに見えて、実は難しいことです。当該児童は、求められていることをすぐに理解し、実行していました。その結果、声に出していたときと比べると、明らかに計算の速度が上がりました。「声に出さずに計算できる=頭の中で数を操作できている」ということですから、国語でも黙読できる可能性が高く読解や出来事を思い出しながら日記を書くことにも成長が期待できます。

  手続きをコロコロ変えると混乱する子どもは混乱しますが、手続きが定着したら、一つの教材で多様な関わり方を試し、子どもの可能性を探っていくことにチャレンジしてみてください。

#20 「楽しさ」を考える(令和7年9月1日)

 子どもに知識や技能を授けようとするときに、よく行われる方法として課題分析があります。例えば歯磨きをするときに、①歯ブラシに歯磨き粉を付ける。②歯ブラシを口の中に当てる。③うがいをする。などの手順で、「できているところ、できそうなところ、できていないところ」を評価し、指導を進める方法です。

 

 私は教員時代、子どもの余暇を研究している時があり、家庭でも楽しめるようにトランプを教えていました。筑波大学の野呂先生に「楽しさを課題分析してはどうか」と助言され、「どきっ!」としたことを今でも覚えています。

 

 当時「ババ抜き」をしていて、このゲームの楽しさは「数字をマッチングすること」と「ジョーカーを引かないこと」です。特に数字をマッチングすること(スキル)は、子どもたちも理解しやすく、すぐに覚えます。しかし、ジョーカーを引いてしまったときの感情や対応の仕方を教えることやジョーカーを引かなかった時のうれしさを子どもに教えることは、なかなか難しいです。そのため、配るトランプの枚数を少なくし、このことが起こりやすい状況をつくり、繰り返しの指導をしました。そうすると、絶対に勝ちたい(いわゆる1番病)の子どもも、ジョーカーを引く頻度が多いので、勝つことだけにこだわなくなったり、あまり感情を出さない子どももトランプを抜くときのドキドキ感を表情に出すようになったりするほか、休み時間に自発的にトランプを楽しむ様子が見られるようになりました。

 

 この時の学びを生かして、別の子どもたち(小学部中学年)には「自転車に乗ること」を教えました。自転車に乗る楽しさを「風を切る爽快感」と「バランスをとるハラハラ感」とし、最初に行ったのが、ペダルを外して、坂道を下ることです。「危ない」と思う人もいるかも知れませんが、危なさは子どもが一番分かっているので、転びそうになる前には、足をついて減速しますし、バランスが取れているときには、笑顔で風を切る爽快感を楽しんでいました。こうして楽しさを十分に味合わせてから、ペダルを漕ぐことも教えました(多分、ペダルこぎから教えたら、楽しくなかったと思います)。

 しばらくすると指導していた子ども全員が乗れるようになったので、グランドや校舎まわりを時間いっぱい走ったり、交通公園に入って信号を守ることや一時停止することなど交通ルールを指導しました。こうした様子を保護者にも実際に見てもらうことで、「家庭によっては見通しのよい道路で子どもとサイクリングに出かけた」という報告を受け、嬉しかったことを覚えています。

 

 夏休み、本校の高等部1年生生徒と先生方がチームを組んで、ティーボール大会に出場しました。分校では子どもたちの絵画や書道作品を「いさりび鉄道作品展」に出展しました。学校で行う活動には、楽しい要素がたくさん詰まっていると思います。「楽しさ」を課題分析して、子どもたちが「楽しさ」を感じられる活動をたくさん行ってほしいと考えています。

#19 行動上、課題のある生徒への対応を考える(令和7年8月25日)

※終業式の日に本校集会でお話した内容です。

 「個人攻撃の罠」という言葉をご存知だろうか。行動分析の言葉であるが、行動変容を求める手立てを行うのではなく、「家庭的に保護者が難しいから」や「あの子は変わらない」、「担任団が悪い」「協力を得るのが難しい」など、人のせいにして十分な手立てを施さないことを「個人攻撃の罠に陥る」という。

 本校には無縁かもしれないが、個人攻撃の罠に陥らないため、私の事例をもとに上げたい。14年間の教員生活の半分は行動上大変と言われる子どもを担任してきた。私の教員人生の価値観を変えたのは約25年前に知り合ったsさん。高等部の3年間を担任していた。IQの程度でいうと40程度ある自閉症を合わせ有する生徒であった。高1の終わり頃から、家庭で大変ということで登校がままならなくなった。

 学校に登校しても、トイレに長時間こもったり、特定の職員をみては、興奮したり、小学部など、小さい子どもの声に反応しては大きなトラブルに発展していた。体重が100キロある生徒であり、一度トラブルが起こると、モノは壊れ、人は怪我をする、気持ちも折れる、そんな毎日であった。どういった状況でトラブルが起きているかデータをとったところ、特に多かったのが、給食の時に特定の職員を見かけ追いかけ回すということであった。

 食べることが大好きなsさんであったが、データに基づき、私は担任として学部主事と管理職、保護者に給食を止めて、自炊すること、日課は集団とは別日課を原則とすることを提案し、了承を得た。基本的には別室対応で、1-1の指導を行い、例えば、うどんを作るとなれば、朝から小麦粉を踏み、生地を寝かす時間には課題学習を行ったり、軽作業を行った。教育課程上の位置付けは自立活動を中心とした。

  食費は保護者から月に1万円負担してもらった。この取組から学んだことは、活動で支えることです。知的障害と自閉症や発達障害を持つ子どもたちに私たちの正論をぶつけても、こちらが期待している行動をすることは難しい場合が多い。自然発生的に望ましい方向に行動変容することは、ほぼない。だとしたら、問題行動が起きにくい状況づくり、すなわち問題を起こすからこそ、具体的な活動で子どもの行動を支えることの大切さを学んだ事例です。

 この事例には続きがあって、月曜日から金曜日まで、担任である私がsさんを個別で見ることは他の生徒もいることから難しかった。そのため、学級付き、学部付きの先生が同じ取組を行うだけでなく、小さな子どもを不用意に近付けないなど、他学部の先生にも自分ごととして、協力をいただいた。

 具体的な方針のもと、子どもを行動で支えるうえで、チームで取り組むことの重要性を学んだ取り組みであった。こうした取組の結果、問題行動が激減し、卒業時期には問題行動も激減し、行事への参加や一部の授業には集団参加が可能な状態となり、進路も決定した。

 本校には、様々な背景を持つ子どもが在籍している。本校では年間約1,000時間の授業時数を配当し、指導を行っている。3年間で3,000時間、6年間で6,000時間、12年間で12,000時間である。この貴重な時間が「個人攻撃の罠に陥らないよう」また、本校の教育が次のステップに進むためには「学校が楽しい」と子どもが感じる授業づくりが重要になると考えている。

 教員時代の私が管理職や周囲の先生方に協力いただいたように、積極的なアプローチは特別日課も含め、校長として応援したい。これまでの指導を振り返っていただき、「子どものために、チームとして」必要に応じて2学期以降の実践を改善してほしい。

#18 教育課程企画特別部会の議論に触れる③(令和7年7月17日)

~特別支援教育に関わる小・中・高の課題~

 通常の学級、通級による指導、特別支援学級に関わる課題と方向性が議論されていますが、ここでは通級による指導について触れます。

 主な課題として

⚫現行の制度では、障害による困難の改善・克服を目的とした指導(自立活動)と通常の学級での授業で構成されており、通級による指導を利用している子供も含めて、通常の学級に在籍する障害のある子供たちは、障害のない子供と同一の目標や内容で各教科の学習に取り組むことが前提であり、通級による指導においては各教科について教育課程上の特例的な取扱いはできないなど、障害の状態等に応じたきめ細かな指導の実現に課題がある。

 

 方向性として

◇通級による指導において、障害の状態等を踏まえ、特に必要がある場合には、各教科の指導を行うことも可能とすることや、通級による指導の授業時数の上限を見直すことを検討してはどうか。

◇各教科の指導に当たっては、各教科の目標・内容の一部について、障害の状態等を考慮したものに替えることや取り扱わないことなど、児童生徒の障害の状態等に応じた教育課程の編成を認めることを検討してはどうか。

◇通常の学級においても障害の状態等を踏まえ特に必要がある場合には、各教科の目標・内容の一部について、障害の状態等を考慮したもに替えることや取り扱わないことなど、児童生徒の障がいの状態等に応じた教育課程の編成を認めることを検討してはどうか。

といった議論が行われています。

 

 一人一人の子どもの教育的ニーズに応じた「柔軟な教育課程」、「通常の学級と通級の行き来がより柔軟にできるよう学校長判断で決定できる仕組み」へと変わっていく可能性もあり、従来の障害の有無だけでなく、不登校や外国人児童生徒など多様性を包摂する仕組み(インクルーシブ)が加速することも考えられます。

 

興味のある方は

https://www.mext.go.jp/content/20250704-mext_kyoiku01-000043568_05.pdf

https://www.mext.go.jp/content/20250704-mext_kyoiku01-000043568_05.pdf

を参照してください。

 下線部は、特別支援学校で従来から行われている重複障害のある子どもの教育課程の考え方を参考にしているように思えます。

#17 教育課程企画特別部会の議論に触れる②(令和7年7月16日)

~特別支援学校の課題~

 顕著化している主なものとして、

⚫ 自立活動の時間の指導と各教科等の指導の関連付けが十分ではないとの指摘や、自立活動の実施にあたり、実態把握から指導目標・内容の設定までの考え方・プロセスに課題があるとの指摘もある。

 ⚫ 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科においては、小・中・高等学校における学びとの連続性の確保を図りつつ、知的障害の特性や発達の段階等を踏まえた対応が必要。

 ⚫ 小・中・高との交流及び共同学習の機会が十分ではないとの指摘もある。

 ⚫ 特別支援学校においてもデジタル学習基盤の活用状況に課題がある。

 

 考えられる方向性として

 ◇ 自立活動について、各教科等との関連付けをこれまで以上に徹底し、自立活動の時間に加えて、学校の教育活動全体の取組となるよう、見直しを図る方向で検討してはどうか。  

 ◇ 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科においては 、小・中・高の各教科に準じつつ、障害の特性や発達の段階等を踏まえた構造化を検討してはどうか。

 ◇ デジタル学習基盤の活用について、 検討しては障害の状態や特性等を踏まえた活用の在り方についても明らかにしてはどうか。

◇ 交流及び共同学習については、その意義として、障害のある子供と障害のない子供がともに協働的に学び合うことの重要性を示す方向で検討してはどうか。

 

 #12、#13とも関連する内容だと思います。詳しく知りたい方は以下のURLを参照してください。

https://www.mext.go.jp/content/20250704-mext_kyoiku01-000043568_05.pdf

 なお、交流及び共同学習に関する論点に本校と七飯中学校で実施している「インクルーシブな学校運営モデル事業」が取り上げられています。

#16 教育課程企画特別部会の議論に触れる①(令和7年7月15日)

~学習評価について~

 次期学習指導要領に向けて議論が活発化しています。

 現行の学習評価は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で目標に準拠した評価を行い、総括した評価が行われていますが、今、議論されているのは「知識・技能」「思考・判断・表現」で目標に準拠した評価を総括し、「学びに向かう力・人間性」を個人内評価とするものです。

 背景には「学びに向かう・・・」は評価の基準が教師によって異なる(発言回数や提出物、授業態度などを評価する)ことや、メタ認知といわれるものを評価することの難しさがあるようです。

 こうした考えに対し、「子どものやる気を評価しないのか」や「知識偏重に陥るのではないか」といった意見もあるようです。

 「学びに向かう・・・」を評価しないのではなく、むしろ変化の激しい社会において「学びに向かう・・・」は特に重要であり、個人内評価としつつも、「初発の思考や行動を起こす力、好奇心、学びの主体的な調整、他者との対話や協働、学びを方向付ける人間性など」は、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」の評価の過程でも見とれる場合があり、特に見とれた場合には、「思考力・判断力・表現力」の観点別評価に〇を付けるといった方法で議論が進んでいます。

 こうした議論に目を向けると、今後の教育課程編成や授業づくり、学習評価の参考になると思います。詳細は、以下のURLを参照してください。

https://www.mext.go.jp/content/20250711-mxt_kyoiku01-000043568_03.pdf

#15 やりとり機会を創出する②(令和7年7月14日)

 #14「やりとり機会を創出する①」で教師とのやりとりができそうになってきている場合は、段階的に子ども同士のやりとり機会を増やしていく必要があります。

 これまで教師が行っていた活動を子どもに移行していくことは、#03で触れた子どもの「待ち時間」を減らすことにもつながります。

 

 例えば、朝の会など授業の進行を子どもが担っている場面を見掛けますが、こうした活動はとても大事だと考えています。

 しかし、子どもの様子を見ていると、進行している子どもは原稿を読み上げるだけになっていたり、機械的な進行になっていたりする場合や、聞き手側の子どもは司会役の子どもを意識していない場合があります。

 

 ただ単に進行をしているだけでは、進行も上手にならないので、どこを見て話せばよいか、声の大きさはどの程度か、聞き手側の子どもが話を聞いていない場合の対応など、子どもの実態に応じて指導を行うことが大切になります。

 また、聞き手役の子どもについても同様に、進行役の子どもに注目して、反応できるよう指導を行うことが大切になります。

 

 障がいの状態や特性は一人一人異なるため、簡単には行きませんが、子ども同士のやりとりが進むと、先生が子どもに指示・説明する授業ではなく、子どもに気付かせるような働き掛けが増えるようになるなど、先生方の教え方が変わる事例をたくさん見てきました。

 子どものもつ能力や可能性を高めるためにも、やりとり機会を増やす取組に、ぜひチャレンジしてみてください!

#14 やりとり機会を創出する①(令和7年7月7日)

 #03「「準備」と「後片付け」を大切にする」とも関連しますが、普段の何気ない活動の中にも、やりとりの機会があります。

 例えば、個別指導の場面で、学習に使うプリント等を入れているA4のカゴを先生がとって準備をするのか、子どもが準備をするのかでやりとり機会の回数は変わってきます。

  また、せっかく後者の方法を用いていても、子どもが雑にカゴを取り扱っているようでは、学習(やりとり)効果も半減します。カゴを持つときに、正しい位置を持つことを教えることも大事なやりとりの機会になりますし、カゴを直接、机に置くことよりも、先生の声掛けに合わせ、先生を意識してカゴを手渡すことも大事なやりとりの機会です。

 

 さらに、#01「「質」と「量」を考える」とも関連しますが、次のような場面も貴重なやりとりの機会になります。

 個別指導の場面で、文字(単語)カードとイラストのマッチングを行っている場面を見掛けますが、ただ単にマッチングするだけでは学習機会が半減します。

 文字カードを手渡すときに発語を促したり、イラストが示す様子をジェスチャーで促したりするなどが考えられます。

  今一度、知的障がいのある子どもの学習上の特性はもとより、普段の何気ない活動を振り返り、子どもとやりとりする機会を大切にすることが重要と考えています。