~「教員のメタ認知」が子どもの未来を拓く~
2 「メタ認知」という羅針盤を持つ
変化の激しい時代において、私たち教員に求められる最も重要な専門性。それが「メタ認知」です。 メタ認知とは、「自分自身の思考や行動を、客観的に把握し、制御すること」を指します。
・感情のメタ認知:「今、私はあの子を諭そうとしているのか? それとも自分のイライラをぶつけようとしているのか?」
・指導のメタ認知: 「この『さん付け』は、形式的になっていないか? 心からの敬意が声の温度に乗っているか?」
・ 組織のメタ認知: 「同僚との意見の相違を、単なる『否定』と受け取っていないか? チームで子どもを守るための『視点の共有』として捉えられているか?」
このように、もう一人の自分が天井から自分を見つめるような視点を持つことで、私たちは「感情的な反応」を「教育的な対応」へと昇華させることができます。
3 変化を楽しむ「学び続ける集団」へ
アンケートでいただいた「素敵な職場の雰囲気づくり」への回答も、ここに行き着きます。 素敵な職場とは、全員が同じ意見を持つ場所ではありません。「自分の今の姿(指導)を客観的に見つめ、必要なら変えていく勇気」を、お互いに認め合える場所です。
まずは私たち大人が「自らを客観視し、学び続ける姿」を子どもたちに見せることから始まります。
私たちの「声の温度」が変わり、「問いかけ」が豊かになり、教員同士が「メタ認知」の結果を語り合えるようになったとき、学校は子どもたちにとって、より一層「安心できる、挑戦できる場所」へと進化していくはずです。
~「教員のメタ認知」が子どもの未来を拓く~
これまで「さん付け」呼称の徹底や「声の温度」への配慮、そして「指導観のズレ」をチームの強みに変える対話について発信してきました。これらは単なるマナーの改善ではなく、今、私たちが向き合っている「社会の劇的な変化」に対応するための不可欠なアップデートです。
1 「かつての正解」が通用しない時代
私たちが子どもだった頃の「当たり前」は、今の社会では通用しなくなっています。かつては「厳しさ」や「集団への同調」が美徳とされる側面もありました。しかし、今の社会が求めるのは、「多様な他者との協調」であり、「自律的な思考」、そして何より「一人ひとりの人権の尊重」です。
学校は、子どもたちが将来の社会へ羽ばたくための「準備の場所」です。だからこそ、私たち教員の指導観も、社会の変化に合わせて常にアップデートされなければなりません。「昔はこれでうまくいったから」という過去の成功体験に縛られることは、時に現在の子どもたちの生きづらさを生んでしまうリスクを含んでいる場合があります。(つづく)
今回のキーワードは「メタ認知」です。 授業中、あるいは子どもを指導している最中に、もう一人の自分が天井から自分を見下ろしているような感覚を持ったことはありますか?
•「今、自分は『さん』付けで呼んでいるけれど、声にイライラが乗っていないか?」
•「『ダメ』と言いそうになった今、なぜ自分は否定的な言葉を選ぼうとしたのか?」
このように、自分の感情や言動を、一歩引いて客観的に観察すること。これが教員のメタ認知です。
・「さん付け」と「声の温度」は、自分の心を知るバロメーター
#38、#39で「さん付け」の徹底や「声の温度」について書きました。これは単なるマナーやルールではありません。実は、呼び方やトーンを意識することは、自分自身の「心の余裕」を測るセンサーになります。「あ、今、語尾が下がって威圧的になったな」と気付くことができれば、そこから修正が可能です。気付かなければ、それは指導ではなく「感情の放出」になってしまいます。
・チームでのメタ認知:問いかけは「ギフト」
自分一人で自分を客観視するのは限界があります。だからこそ、チームが必要です。#42のヒント集に載せた「今の場面、あの子にはどう伝わったと思いますか?」という問い掛け。これは相手を責める「指摘」ではありません。相手が見落としているかもしれない視点を贈る「ギフト」です。「あ、そう見えていたのか」という気付きこそが、私たちの専門性を高めるメタ認知の瞬間です。(つづく)
【保存版】チームの空気を変える「問いかけ」ヒント集
| シーン | 相手への問いかけ・フレーズ例 |
| 指導が強すぎる時 | 「先生、お疲れではないですか? さっきの場面、あの子が少し驚いて固まっていたのが気になって…。」 |
| 納得がいかない時 | 「先生のやり方だと、あの子にはどんな変化が見られますか? 私も参考にさせてください。」 |
| 判断に迷う時 | 「今の関わり、あの子にはどう伝わったと思いますか? 一緒に振り返らせてもらえませんか?」 |
| チームで守る時 | 「余裕がない時はお互い様。そんな時、どう合図を出し合えばお互い(と子ども)が助かるでしょうか?」 |
こうしたフレーズを使うのは、勇気がいることです。特に経験の浅い先生にとっては、先輩に声を掛けるのは至難の業かもしれません。だからこそ、以下のことを職員室の「約束事」にしていきたいと考えています。
· 「指摘」ではなく「情報の共有」と捉える:「あなたの指導はダメだ」という否定ではなく、「私には子どもがこう見えた」という情報のシェアだと捉えてください。視点が多いほど、子どもの理解は深まります。
· 「問いかけ」を歓迎する文化を:もし同僚から「今の関わり、どうでした?」と聞かれたら、それはあなたを責めているのではなく、チームで子どもを守ろうとしている証拠です。その勇気に感謝できる集団でありたいと思います。
· まずは管理職を練習台に:もし私をはじめ管理職の関わりで気になることがあれば、ぜひこれらのフレーズを使って教えてください。「校長先生、今のあの子の表情見ました?」と言ってもらえるのを待っています。
2 「教室マルトリートメント」をチームで防ぐ
「指導」という名の下で行われるきつい口調や威圧的な態度は、子どもの脳にダメージを与えるだけでなく、学級全体の心理的安全性を損ないます。これを防ぐには、個人の資質に任せるのではなく、「チームで風通しを良くする」しかありません。
• 「問い」で対話を始める: 同僚の指導に疑問を感じた時、「それはダメです」と否定すると角が立ちます。代わりに、「今の場面、あの子にはどう伝わったと思いますか?」と、あえて問いとして投げ掛けてみてください。相手に「振り返り」のきっかけを贈る勇気が、教室の空気を変えます。
• 「弱さ」を見せ合える関係: 「今日は余裕がなくて、つい口調が強くなってしまった」と、先生自身が失敗を共有できるチームは強いです。その一言が、周囲のサポートを引き出し、不適切な指導の連鎖を断ち切ります。
3 素敵な職場の雰囲気は、子どもの笑顔の鏡
アンケートに「素敵な職場の雰囲気作りについて知りたい」という声がありました。素敵な職場とは、全員の意見が一致する職場ではありません。「意見が違っても、敬意を持って対話できる職場」です。
私たちの関係性がギスギスしていれば、子どもはそれを敏感に察知します。逆に、先生たちが助け合い、笑い合っている学校では、子どもたちも安心して自分を出すことができます。(次回へ続く)
2学期のアンケートでは、多くの熱心な意見をいただき、ありがとうございました。その中で、私の心に残った切実な声があります。それは、「先生によって指導の口調や考え方が異なり、戸惑うことがある」「教室でのきつい指導を見かけると苦しくなる」というものです。
特別支援教育は、正解が一つではありません。だからこそ、現場で起こる「指導観のズレ」にどう向き合うかが、私たちの専門性を左右します。
1 「正しさ」のぶつかり合いから「子どもの反応」へ
私たちは皆、「子どものために」という強い熱意を持っています。しかし、その熱意ゆえに「自分のやり方こそが正しい」と、正しさのぶつかり合いが起きてしまうことがあります。そんな時こそ、主語を「私」から「子ども」に入れ替えてみませんか。
• 「私の指導に従わせる」ではなく、「今の関わりで、あの子に安心感(または学び)は生まれているか?」
• 「あの先生のやり方は違う」ではなく、「あの関わりに対して、あの子はどう反応したか?」
「子どもの事実」を共通の物差しに据えることで、感情的な対立ではなく、建設的な「検討」が始まります。(次回へ続く)
前号では「さん」付け呼称をお伝えしました。今号では、私たちがさらに意識している「声の大きさ」や「抑揚(トーン)」、つまり「伝え方」について触れます。
1 感情をぶつけない「適切なボリューム」
人権に配慮した指導の第一歩は、子どもの恐怖心を煽らないことです。大きな声で怒鳴ることは、一時的に子どもを従わせることはできても、心の奥に届く「納得」や「自己肯定感」を奪ってしまいます。
〇 人前で叱らない: 必要な指導は、相手のプライバシーに配慮し、落ち着いたトーンで静かに伝えます。
〇 安心の距離感: 威圧感を与えないよう、目線を合わせ、適切な声の大きさで語り掛けることを職員間で徹底します。
2 「肯定」を乗せる抑揚(トーン)の工夫
同じ「さん」という呼び方でも、語尾が上がれば「期待」になり、語尾が下がれば「威圧」になります。
〇 「褒める」は明るく、弾むように: 子どもの「できた!」に共鳴するよう、声に表情をつけて喜びを伝えます。
〇 「諭す」は穏やかに、低く: 何がいけなかったのかを考える場面では、感情を抑えた一定のトーンで話すことで、子どもが冷静に自分の行動を振り返る「心の余裕」を生み出します。
3 「否定の言葉」を「お願いの言葉」へ
「ダメ!」「やめなさい!」という鋭い響きは、子どもの思考を停止させてしまいます。さんを付けた上で「〜してくれると助かるな」「〜するともっと良くなるよ」といった、語尾を柔らかくしたメッセージに変えることで、子どもは「自分を否定された」のではなく「行動のヒントをもらった」と受け止めることができます。
先日の学校評価と職員会議では、「児童生徒一人ひとりの人権を尊重し、自己肯定感を高める指導」を教育の柱として再確認しました。子どもたちが「自分は大切にされている」「自分には良いところがある」と実感できる環境づくりの一環として、学校生活における「さん付け」呼称を徹底します。
なぜ今、「さん付け」なのか。
1 「尊重」を形にする第一歩
子どもたちを一人の人間として尊重し、敬意を払う。これは人権配慮の基本です。 日常の何気ない呼び方から見直すことで、教職員と子どもたち、あるいは子ども同士の間にも、温かく、適切な距離感のある礼儀正しい関係性を築いていきたいと考えています。教師は子どもたちのモデルです。子どもの前で教師間が声を掛け合うときは「先生」と呼ぶことも同様です。
2 「褒める言葉」を真ん中に置くために
私たちは、指導の原則を「指示・命令」から「承認・称賛」へとシフトしていきます。 「〇〇しなさい」と先回りするのではなく、子どもが自ら気付いて行動するのを待ち、その過程や努力を「さん」と呼んで丁寧に認める。そんな「褒める言葉」が溢れる学校を目指します。
3 社会へのつながりと「自己肯定感」
学校は、子どもたちが社会へと羽ばたく準備をする場所です。 相手を尊重する呼び方を習慣化することは、将来の社会生活における基盤となります。自分の名前が丁寧に呼ばれる経験の積み重ねは、「自分は認められている」という自己肯定感に直結し、それが得意なことを伸ばすエネルギーに変わっていきます。(次回へ続く)
◇ できる状況づくりについて
・全体への分かりやすい指示、十分な学習量が保たれている(待たされている生徒がいない!)。また、一つの曲を題材に様々な角度からアプローチし、目標に迫る指導は知的障がいのある生徒の学習上の特性を踏まえると効果的であり、「活動の質」を高める上で、多くの教員が参考になる。
・「そう!」「きれい」「すてき」「ばっちり」などポジティブな言葉のオンパレードは、子どもたちのモチベーションアップにつながる。
・MTのポジショニングは生徒全員を見渡せる位置が理想。10名ほどの生徒を横一列に着席させるなら、1メートルほど距離をとるか、扇形に座らせた方がよい。
◇ 指導・支援の在り方について
・授業の終末で、MT教師が振り返りの見本を示したことにより、生徒の発言も目標に関連した振り返りになっていた。Aさん「元気よく」Bさん「静かに」Cさん「楽しく」などの発言は、和音Ⅰ、Ⅳ、Ⅴのキーワードであり、本時の目標を達成した根拠になるのではないか。
・STからの振り返りも、本時の目標を取り上げながら、生徒の具体的な姿を評価していて素晴らしいと思った。
◇ 学びの連続・般化
・単元計画を立案することの大切さを感じた。
・活動内容に惑わされず、指導内容を突き詰めていくことの大切さを感じた。
・子ども自身が楽しいと思う授業が増えることが、余暇や家庭生活の充実につながる。
#17でも触れましたが、全国の現状から次のようなことが課題として示されています。
【学校経営・授業改善では】
・障害の「社会モデル」の考え方も踏まえた学校経営や授業づくりが特別支援学校にも求められているが、全ての教師に考え方が浸透しているかどうかについては課題がある
・障害により生じる困難さに対応しつつ、子供たちの資質・能力を育成するための授業づくり、各教科等の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善は、多くの特別支援学校において道半ばの状況
【自立活動では】
・自立活動の時間の指導と各教科等の指導の関連付けや、自立活動に係る実態把握から指導目標・内容の設定までのプロセスや考え方の浸透が不十分
・教師主導型の自立活動の改善も課題
【知的障がいの各教科】
・小・中・高の学びとの連続性の確保を図りつつ、知的障害の特性や発達の段階等を踏まえた対応が必要
本校・分校とも学校評価や年度末反省の時期を迎えました。「チームで子どもたちのために」こうした視点も含めて検討してほしいと考えています。
今年度の重点のひとつに、「保護者や地域と直接の関わりによる、子どもたちの学びの機会を広げ、感謝を伝え合う教育活動の推進」があります。
本校高等部では、学校運営協議会での御意見を踏まえ、地域食堂や沖縄民謡など、地域の方との連携に基づいた教育活動が充実してきています。
この取組の良いところは、活動の振り返りが充実していることです。活動をやって終わりではなく、地域の人から(感謝や激励の)メッセージをもらったり、生徒がお礼を書いたりするなど、感謝を伝え合う活動になっています。
この方法はさらに進化し、高等部祭の時には、保護者や地域の方の感想を動画に撮って事後学習に用いるほか、小学部や中学部の学習発表会でも同様の取組を行っています。文字を見て分かる子どももいれば、映像を見れば分かる子もいて、個別最適な学び(指導の個別化)が図られています。
#27でも触れましたが、多様な人から多様な方法で称賛されることで、子どもの自己肯定感は高まります。#34を充実させる上で、伝えたいというマインドが育ち、書いたり、話したりすることへの意味付けが出てきます。
知的障がいのある子どもの学習上の特性に配慮した、生活に結びついた内容であること、繰り返しの学習であることなど、本事例から多くのことを学ぶことができます。掲示物などを使って子どもと関わり、言語能力が高まることを期待しています。
言語活動の充実を図る上で、大切なことは、その前提となる言語環境を整えることです。 学校生活全体における言語環境の整備としては、例えば、教師との関わりに関係することとして
①教師は正しい言葉で話し、黒板などに正確で丁寧な文字を書くこと
②校内の掲示板やポスター、児童生徒に配布する印刷物において用語や文字を適正に使用すること
③適切な言葉を使って簡潔に分かりやすく話すこと
④より適切な話し言葉や文字が用いられている教材を使用すること
⑤教師と児童生徒、児童生徒相互の話し言葉が適切に行われるような状況をつくること
⑥児童生徒が集団の中で安心して話ができるような教師と児童生徒、児童生徒相互の好ましい人間関係を築くことなどに留意する必要があります。
本校・分校とも学習発表会に合わせて、②校内掲示なども充実しています。掲示物を使って⑤や⑥などに取り組み、言語活動が充実することを期待しています。
ある研修会で聞いたすごい学校の話を紹介します。その学校では講師を呼んで校内研修を実施する際、その講師から研修の2ヶ月前に研修資料をもらうそうです。資料だけでなく、関連する書籍、論文などを講師から指定してもらい、職員全員が読み込みを行うそうです。
そして研修当日、例えば90分の研修であれば、冒頭の20分程度で講師の話を終え、その後の60分は先生方が講師に質問をぶつけ、暗黙知を形式知に変えたり、質問に関する考え方などの共通理解を図っているそうです。
そして最後の10分は講師に話し足りないことを説明してもらうそうです。この学校が行っている研修のスタイルは、一般的な受講型の研修に比べると、学びの質が異なると思います。このスタイルを経験した講師はタジタジになったと話していました。
この学校の特徴は、教職員の自主・向上性と同僚・協働性が高く、学校全体の教育実践の方針に教員個人の教育実践が位置付き、チームワークを考えながら個人の能力を発揮している状態であり、教職員一人一人の意識や組織力の高さは言うまでもありません。同じ時間をどう使うか、研修や会議の持ち方を考えさせられる機会となりました。
本校・分校の職員会議で話した内容です。
この半年を振り返ると、本校では、文科省のインクル事業で素晴らしい交流及び共同学習や、地域食堂と温かみのある連携など。
また、分校では、石別大運動会の参加種目の拡大や、今金町での居住地校交流など、これまでの取組が充実したものもあれば、新たな取組となったものがある。
改めて先生方への感謝をお伝えしたい。
今年度も残り、半年を切った。本校・分校の素晴らしい教育活動を如何に持続可能なものとし、発展させていくか。その際、今年度の重点である「チームで」というファクターを通して評価していくことが重要であると考えています。
「チームで」=集団を意味しますが、今年度の先生方の取組の様子から、本校では、様々な背景のある子どもたちに対するケース会議が行われ、困難を解決するための建設的な話し合いがもたれていた。また、分校では、あおいそらのコンサルテーションを通して、子どもたちへの指導・支援が充実してきたことは、評価すべき内容と考えている。
ここまで個にスポットを当てて、子どもたちのために取り組んでいる学校は少ないのではないか、本校・分校とも校長として誇らしく思うと同時に、次のステージ
・全職員が学校経営に主体的に取り組む段階
・全職員でより組織的に取り組む段階
にチャレンジするべきではないかと感じている。
評価の話に戻りますが、学校では一般的に、授業や行事などその時々の評価や、時期に応じて実施する年度末評価、学校評価があります。これらの評価は、そのものの善し悪しを評価したり、具体的に改善することには適していますが、組織そのものを評価することは難しいという側面があります。
どういう組織が、望ましいか。それは、令和の日本型学校教育などを踏まえると、変化の激しい社会、多様化する様々な問題に対応できる組織です。学校は従来から鍋蓋式の組織と言われることが多いのですが、鍋蓋式の組織では、様々な課題を解決したり、変化を受け入れたりすることが難しいと言われています。
今求められている組織は全ての教職員が自主性や向上心と同僚性と協働性を兼ね備えている、自走する学校組織です。それは、全ての先生が教職に対して、やりがいと幸福を感じるウェルビーングな組織を意味します。
組織を評価するといっても、学校と一般企業では、その性格も異なることから、企業とは方式が異なります。そのため、早稲田大学の河村先生が開発した尺度を用いて本校・分校の組織の状況を分析し、可視化することやホワイトボード・ミーティングの手法を用いて、コミュニケーションを高めたり、経験値や暗黙知を標準化するなど、先生方の所属意識がさらに高まる「職員全員が活躍できる組織」を目指したいと思います。
こうした取組は、学校教育目標や目指す学校像など、根幹部分の見直し、教育課程の改善や分掌業務或いは配置人数の見直し、PDCAを前提とした諸会議の実施やゆとり時間の確保など、検討すべきことは多岐に渡ることも想定されますが、チームで、子どもたちのためにあるべき組織の姿を共有したいと思っています。
今年度から分校で実施している居住地校交流について紹介します。居住地校交流とは特別支援学校に在籍している子どもが、本来通うはずだった地域の学校と交流及び共同学習を行うことです。今回の取組は、保護者の意向はもとより、分校と相手校の先生方の協力、そして子どもの居住地である町教育委員会の全面的な支援(分校から居住地までの送迎、発達支援センター職員が子どもを支援、保護者との連絡調整など)で実現したものです。
町教委の方に話を聞くと、「町の子どもは町で育てる!」「学ぶ学校(場)が異なっても、町の子どもには変わりない!」とのことです。
こうした熱い想いのもと、実施された1回目の居住地校交流では、小学校の玄関をくぐることに長い時間を要しましたが、町職員を始めるとする大人の粘り強くも温かい対応と子どもたちの働き掛けにより、レクレーションや給食など有意義な活動を体験することができました。
そして2回目の交流は、前回と比較にならないほどスムーズに学校に入り、体育の授業に参加し、給食を食べました。体育の授業では①ラジオ体操②柔軟体操③枕(クッション)投げ④転がしドッジボールで構成された45分の授業に参加しました。これは特別支援学校の課題である豊富な学習量が用意(#01と関連)されていて、我々も学ぶべきことがたくさんあると思いました。また、本児の支援に当たっている町職員の関わり方(#02と#23と関連)ティーム・ティーチングが素晴らしかったです。さらに#30でも触れたように、たくさんの見本があるので、列に並んで話を聞いたり、集団に合わせて行動したりする場面が多く、参観した保護者は本児の成長と就学前まで一緒に過ごした子どもたちと共に学べる環境を喜んでいました。
本児は町教委から副学籍の扱いを受けています。教室には本児の机やロッカーも整備されており、学習環境も整ってきました。
居住地校交流は全国的に進んでいますが、北海道の学校は広域分散型などの地理的条件から、実施しているケースは少なく、分校と町教委の取組が最先端です。
今後、本校・分校に通う子どもの保護者が居住地校交流を希望する可能性もあります。「子どもたちのために」を合言葉に本事例から学び、成果や課題等を整理していけたらと考えています。
本校中学部2年生が七飯中学校の学校祭に参加しました。#22、#24で紹介した音楽の授業で取り組んだ手話歌「翼をください」です。中学校の生徒が作り出す(お手本があちらこちらにある)雰囲気もあり、普段の授業では、手話をしない生徒が手話をしたり、いつもより大きな動作をしたり、しっかりと歌ったり、本校の生徒も普段の音楽の授業の時よりも素晴らしいパフォーマンスを発揮していました!
学校祭に向かうまでの単元にブレがなかったこともあり、これまでインクル事業で課題となっていた共同学習の側面を克服し、3観点で評価できる取組となりました。
また、これまでの積み重ねがあるから、生徒同士が安心、信頼して関わり合うなど交流の側面もしっかり果たしていたことは言うまでもありません。
これまでも触れてきましたが、まずは集団を重視した授業が基本であり、その上で個別に配慮することの大切さ、集団の持つ力の可能性を改めて感じた瞬間となりました。
本校高等部2年生が、今年度の新たな取組として、渡島振興局と町内の果樹園に御協力いただき、農福連携(りんごの葉摘)に取り組みました。
本取組の良かったこととして3点。
1点目は単元計画を立てて取り組んだこと。特別支援学校の十八番と言える事前学習では、オーソドックスな行き先や活動内容に留まることなく、七飯町の産業やりんごの品種など、様々な実態の生徒に適した事前学習であったこと。また、事後学習では単なる活動の振り返りにとどまらず、自分の言葉で手紙を書いたり、事前学習で調べた品種による味の違いを確認するなど、単元をとおした学習活動であったことが評価できます。
2点目は#01でも伝えていますが、十分な作業量が保障されていたこと。実際に30分×2セットの授業でしたが、生徒はミルミル内に上達していきました。また、りんごの葉摘が難しい生徒には、落ちているりんごを拾うなど、個に応じた活動が提供されていたこと。その成果は果樹園の方へのお礼の場面で、ただ「がんばりました」というだけでなく、何が良かったのか、難しかったのは何かなど生徒が自分の気持ちを言語化していたことからも明らかです。
3点目は様々な方から助言いただいている、体力を高める内容であったこと。計60分の立ち仕事をこなし、帰りの道中も歩いて帰ってきたこと。本物の作業体験をした生徒は自信と充実感に溢れ、頼もしい姿でした。
これから期待したいことは、貴重な本物の経験を次年度の教育課程に反映していくこと、普段の作業学習の当たり前を見直すことです。貴重な経験をした先生方は、答えは地域にある、生徒の気持ちを揺さぶることが大切と感じられたのではないしょうか。今後の教育活動(教育課程)に「つながり」「つなげる」ことの大切さを学んだ1日でした。
早いもので、今年度も折り返しました。そんな中、9月26日には分校で、27日には本校で学校運営協議会を開催し、委員の皆様から貴重な意見を伺いました。
分校は本校より早くCSに取り組んでいることもあり、石別地区の大運動会やトラピスト修道院のライトアップなど、様々な教育活動がすでに教育課程に位置付いています。
本校は地域食堂との連携や沖縄文化に触れる学習など、昨年度よりも取組が充実してきています。
CS委員は学校運営に関する意見を校長に述べることができます。
分校の委員からは「ライトアップの時に紙漉き製品を置けないだろうか」、本校の委員からは「今年度の取組を継続できるようにしてほしい」と意見をいただきました。今年度に関しては、こうした取組を試行的に行うことになりますが、活動ありきではなく、様々な活動を通して子どもの資質・能力を高めていく必要があります。そのため、持続可能で発展的な取組となるよう、教育活動の成果を次年度の年間指導計画(教育課程)に位置付けてほしいと考えています。
※ 本校の学校運営協議会では、高等部の生徒が調理学習で作ったスイーツを委員の皆様に出してくれました♪生徒が自己紹介し、調理でがんばった点を説明するなど、委員にとっても生徒にとっても素敵な時間になりました!
子どもを褒めるときの方法は、望ましい行動をしたときに、①お菓子など具体物を使う②ハイタッチなど身体接触で褒める③言葉で褒める④トークンを使って褒めるなど、様々あります。この時注意してほしいのが、これらは、褒められた後、記憶にも記録にも残らない可能性があります。
私は教員時代、支援ツールで有名な武蔵博文先生から教えてもらったのが、チャレンジ日記です。係活動や作業学習などでがんばったことに対して、子どもが文字で書いたり、シールを貼ったりします。そのチャレンジ日記を授業の場面で使ったり、家庭に持ち帰らせたりすると、学校でも家庭でも褒められる回数が格段に増え、がんばっていることなどが周囲の人に伝わります。また、記録に残るので、子どもが自分で見返す場面も出てきます(当時は紙面でしたが今はICTの活用もできるかも知れません)。ポイントはひとつのファイルに集約することです。
ひとつの行動を多様な方法、多様な場面で、子どもを褒め、自己肯定感や学習に対するモチベーションを高めることが大切だと考えています。
子どもたちの大好きな調理学習。私も教員時代よくやっていました。ホットケーキを作ったり、ドーナツを作ったり、子どもたちが喜ぶものをたくさん作った記憶があります。
そんな調理学習ですが、河嶋淳子先生(医師を辞めて、重度自閉症の子どもを育て、愛媛県で長年にわたって独自の療育を実施)の療育センターを伺い影響を受けました。
ざっくりというと、調理を通して「指先を育てる」「レシピを見て(読んで)指示に従う」です。
子どもたちの中には、指先の器用な子もいれば不器用な子もいますが、低学年のうちから包丁やピーラーなど、実践的な調理器具を使います。包丁で切ったり、ピーラーで皮をむいたりすることは、結果も分かりやすく、子どもたちも喜んで取り組みます。
調理器具をもつ「危なさ」は、子どもたちが一番理解しています(留意点としては、包丁やピーラーを研いで、よく切れる状態にしておくことです!切れない包丁を持つと力が入って危険です)。
指示に従うという点では、例えば、炊飯や味噌汁づくりから始めました。水の量を間違えるとご飯も味噌汁も美味しくできません。レシピに書かれている〇合や〇CCの指示はあいまいさがなく、美味しくできる=結果も分かりやすいです。
こうした活動は、家庭でも、保護者の手伝いにつながったり、将来の自炊にもつながります。ねらいを明確にして楽しく学習に取り組んでほしいと考えています。
令和8年度の七飯養護学校では「子どもを真ん中に」を合言葉に、保護者や地域の皆様と共に歩む学校づくりを進めてまいります。
学校経営方針を具体化するため、教職員のプロジェクトチームを中心に本年度の教育活動のグランドデザインを策定しました。