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2026年7月の記事一覧

#10 教材のもつ意味を考える①(令和7年6月23日)

 先生との個別指導で、いわゆるジグソーパズルを行っている場面をよく見掛けます。先生が自作した教材で4ピースや6ピースなど、工夫されているものもあれば、20~30ピース程度ある市販のパズルを使っている場合もあります。

 ジグソーパズルは、完成したときの絵のイメージを、もてていなくても、ピースの形が分かれば完成させることができるという特徴があります。

 完成したときのイメージを、もてている子どもは、子どもなりに考えて、ピースをはめていきますが、そうでない子どもは#05の②で触れた対応弁別が困難な状態で、手当たり次第にピースを置いたり、端から順に置こうとしたりします。

 ジグソーパズルを使って認知を伸ばすのは経験上6ピース程度の教材を使い、子どもが、完成形をイメージしながら課題に取り組むことが大切と考えます(20~30ピースのものは一定時間集中して取り組む力は求められますが、認知を伸ばすことにはあまりつながらず、余暇として取り上げた方が良いのかもしれません)。

 6ピース程度のジグソーパズルができたら、どうするか。切片パズルに取り組むことが考えられます。

 ジグソーパズルは形を見て課題を遂行しますが、切片パズルは線と絵全体を見ながら課題を遂行しなければならず、ここにも発達的に大きな意味があります。

 6~8ピース程度の切片パズルが安定的にできるようになると、線(細部)を見極める力やイメージする力、概念が身に付いてきていますので、文字学習への発展が期待できます。

#09「見通し」は2とおりあります。②(令和7年6月18日)

 #8で「単元の見通し」について触れましたが、ある学校でのエピソードを紹介します。

 A校では高等部祭で販売するお皿づくりに励んでいました。生徒が私に学習内容を説明してくれたので、私は「そのお皿いくらで売るの?」と聞きました。すると、その生徒は「分からないので先生に聞いてくる」と言って先生のところへ行きました。戻ってくると、その生徒は私に「200円です」と教えてくれました。私はさらにその生徒に「それって高いの?安いの?」と聞きましたがその生徒は困っていました。さらに私の質問は続きます。「粘土1㎏の値段は?」粘土1㎏からお皿何枚作れるの?」「釉薬はいくらするの?」生徒が困ると思ってした質問のはずが、生徒の顔が輝き始めました。そして最後の質問は「最低賃金はいくらなの?」。すると、生徒はそれぞれに「安い」「高い」などと自分の意見を言い始めました(これらの質問は思い付きではなく、特別支援学校学習指導要領解説 知的障害者教科等編(下)P253,イ 工業の基礎に基づいています)。

 B校では秋晴れの日に作業学習で窓拭きをしていました。私が「今日は天気がいいので窓拭きもはかどるね」と生徒に言ったところ、その生徒からは、「天気が良すぎる日は窓拭きに適していません」と返ってきました。私は「どうして?」と聞くと、その生徒は「窓がすぐに乾くからです」と言いました。

 A校とB校との違いはどこにあるか。一言で言うと「教え方」です。皿をつくるという活動そのものしか教えていないA校(#04で触れた未学習、不足学習とも言えます)に対し、B校は活動がもつ本質的なことを丁寧に繰り返し教えた結果、生徒が体験や実感に基づいて表現できていると言えます。

 生徒のもつ能力や可能性を高めるには、先生方がチームになり、単元を見通した指導が効果的といえます。

#08 「見通し」は2とおりあります。①(令和7年6月16日)

① その活動の見通しです。

 例えば音楽の時間に、「はじめのあいさつ」「歌を3回歌う」「楽器を演奏」「終わりのあいさつ」というように、この時間の流れを示す見通しです。本校のみならず、各校でイラストや文字などを使って伝えています。

② 単元の見通しです。

 例えば、単元のはじめに「学習に取り組む必然性」や単元が終わったときに、「何ができるようになるか」を子ども自身が理解するための見通しです。

 ①は知的障がいや自閉症のある子どもへのエチケットとして、浸透していますが、①に終始すると、活動することが目的になり、評価をするときに困ります。

 ②はどうでしょう。①に比べるとハードルが高いように思います(本来身に付けるべき、教科等の内容を意識する必要がありそうです)。

 子どもの実態から単元の見通しを伝える難しさはあると思いますが、①に偏ってしまうと単元を見通す学習を経験しなかったり、不足したりする(#04参照)可能性もあります。

 繰り返しの学習を得意とする子どもが多く在籍しています。単元を見通して、どのような力を身に付けさせたいか、この授業で何をねらうのかを明確にした上で、子どもに丁寧に働き掛けていくことが大切と考えています。

#07 授業改善をどのように進めるか考える(令和7年6月9日)

 「授業改善」と聞いて、それぞれの先生がイメージする事柄はそれぞれに異なると思います。ティーム・ティーチングで指導することが多い特別支援学校では先生方のイメージを共有することから授業改善は始まります。

 授業改善は目的ではなく、手段であり、目指すべき方向性は学校教育目標を達成することにあります。学校教育目標では漠然としすぎていると感じる場合には、今年度の重点「チームで、より子どもたちのためになる・・・」や学部の目標、学級経営目標に基づき授業改善を行うことになります。

 次にどの授業を改善するかですが、1週間に1度しかない授業を改善することは成果も見えにくく、すごく難しいと思います。毎日行っている授業であれば週に5回改善を行うことができます。

 本校・分校とも総授業時数における「指導の形態」の割合を見ると、日常生活の指導が最も多いことが分かります。

 集団の指導であれば、朝の会や帰りの会ということになりますが、朝の会等はパターン化されている場合がほとんどで、授業改善の対象となっていないように感じることも少なくなく、もったいないと感じることがあります。

 朝の会等の構成を分析すると、学習の基盤となる資質・能力(言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力)が多く含まれています。

 こうした資質・能力と学校教育目標等をリンクさせながら授業改善を行い、他の指導形態の授業改善につなげていくことは、「教科等横断的な指導」につながるだけでなく、断片的に学ぶことが多い知的障がいのある子どもの学習上の特性に合致した指導と言えます。

 こうしたプロセスを共有した上で、これまで当たり前に行っていた授業をチームで見直して行くことが授業改善への第一歩なのかもしれません。

#06 個別の指導計画と教育課程を考える(令和7年6月5日)

 個別の指導計画は、個々の児童の実態に応じて 適切な指導を行うために学校で作成されるものです。

 教育課程は、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童生徒の心身の発達の状況に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画です。

 この2つをつなげて考えることがとても重要です。

 「個別の指導計画の教科等の目標を見て教育課程をイメージできるものになっているか、どうか」ということです。

 例えば、本校の小学部1年生は年間の総時数944時間を計画しており、日常生活の指導604時間、生活単元学習34時間などとなっています。さらに掘り下げると、日常生活の指導の604時間でどういった指導内容を取り上げているか、日生で取り上げる複数の指導内容の割合はどうなっているか、そしてそれらに基づき、個別の指導計画が作成されているかどうかがポイントになります。

 本校・分校とも2期制で目標を立て、評価をしていることから、半年間を見通した目標を立てることも大切になると思います。

 個別の指導計画を作成するときに、しっくりこない場合は、

・教科等の年間指導計画(配当時数や指導内容)が児童生徒の実態に合っていない

・個の実態を注視しすぎるあまり、学習指導要領で示されている教科等の目標や内容と乖離している

ことなどが考えられます。

 この時期に改めて、個別の指導計画や学部の教育課程(年間指導計画)を点検してみてください。