より精度の高い設計図にするためのポイント
① 表記・レイアウトの基本
まず、計画の『顔』となる部分です。常用漢字の誤字、脱字、箇条書きの記号(○や・)、行揃えを整えましょう。
なぜか? 読み手(精査をする人が)がそこに引っかかってしまうと、中身を精査できなくなるからです。保護者や外部機関が見た時に『信頼できる計画だ』と思ってもらえるよう、最後の一読(校正)を徹底しましょう。
② ロジックの整合性
「次に、一番の肝となる部分です。『目標』『手立て』『評価』が一本の線でつながっていますか?
● 目標:何ができるようになるか
● 手立て:そのために先生が何をするか
● 評価:目標が達成できたかどうか 例えば、目標が『挨拶』なのに、評価が『授業に集中できた』では繋がっていません。ここがズレると、指導の軸がブレてしまいます。」
③ 個別性の担保
最後に、一番注意したい点です。実態が違う生徒に、同じ目標や手立て、評価を使い回していませんか?また、作業学習や美術などの製作(制作)場面で用いられている手順書(工程表)の活用は、個別の指導計画でもよく目にする言葉ですが、長いスパンで行われている学習にも関わらず、最初に提示した手順書から全く変化がなく、結局覚えるまで教師がぴったりいている状態になっていませんか?
似たような課題を持つ子どもでも、その背景や得意なことは一人ひとり違います。コピー&ペーストではなく、目の前のその子の顔を思い浮かべながら、その子だけの言葉で紡いでください。同様に、手掛かりは、身体的なガイドや、指さし、手順書、言葉掛けなどのステップがあります。その生徒の実態を的確に捉えた上で、目標や手立てを検討することが大切になります。
書き手が上達する、精査する人が楽になる、何よりも子どもへの指導の根拠となる個別の指導計画を作っていきましょう!#06や#12も合わせて御覧ください。
前例を疑う勇気は、「ワクワク」にもつながります。
● 「先生、疲れてない?」と子どもに気付かれないために
子どもたちは、私たちの心の揺れを敏感に察知します。先生が疲弊して、目が吊り上がっていたら、どんなに良い教材も届きません。だから、今年度は「大人のウェルビーイング(幸せ)」を追求します。
● AIは「敵」ではなく、事務作業を任せる「相棒」
指導計画や文書の「0→1」作成に、ぜひAIを使ってください。分校では、個別の指導計画を作成する際に、AIの活用を試みています。空いた時間で子どもと笑い合い、早く帰って家族とご飯を食べてください。「前例踏襲」という名の重石は、勇気を持って「これ、いります?」と声を上げてください。
● 心理的安全性の高い職員室を
失敗しても大丈夫。意見が違っても大丈夫。「ぼちぼちいこか」の精神で、お互いのプライベートや強みを認め合えるチームでありたい。教職員の「ワクワク」が、子どもたちの未来を照らす一番の光になります。
行動マトリクスは、子どもと「私たち」を守るためのツール。
・アンケートの「本音」に向き合って
昨年度末のアンケート、しっかり読み込みました。一番多かったのは「指導観のズレ」への悩みでした。「A先生には怒られたけど、B先生はいいって言った……」。これでは子どもがパニックになるのも無理はありません。
・ポジティブに行こう
本年度から導入する「行動マトリクス」は、子どもを縛るためのルールではありません。「ここではこうすればOK」を共有し、先生方が自信を持って「いいね!」と言える環境を作るためのものです。
・「見える化」は愛です
特に小学部のルーティンや、中学部・高等部の働くルール。写真やカードを使って「見通し」を子どもたちにプレゼントしてください。言葉で何度も叱るより、一枚の写真やイラストが子どもを安心させることがあります。「叱らなくていい教室」を一緒に作っていきませんか。
本校では「相手の顔を見てあいさつしよう」「笑顔でペコリしよう」が始まりました。早速、丁寧にあいさつしてくれる児童生徒が増え、嬉しいです。「小さなできた!」の積み重ねが大切だと考えています。
子どもを真ん中に「伴走者」として歩み出す
・「ぼちぼち」と言いつつ、アクセルも踏みます(笑)
新年度が始まりました。「今年度は、何が変わるの?」と不安な方もいるかもしれません。答えはシンプルです。「20年後の子どもたちの笑顔」のために、私たちの関わり方をアップデートしましょう。
・あの時、自分で選んだことが今につながっている
昔は「できないことを、反復練習で克服させる(できるようにする)」ことに重きが置かれていました。20年後の未来を想像してみてください。科学技術の進歩により暮らしが大きく変わっている可能性が大です。そのような時代を生きる彼らに必要なのは、「やらされる力」ではなく、「自分で選ぶ力」です。
・教師は「教える人」から「コーチ」へ
「さん付け」で呼び合い、一人の人間として尊重する。ICTなど言葉以外の方法も使いこなして、彼らの「言いたい!やりたい!」を支える。私たちは、彼らの人生の「最強の伴走者(コーチ)」としての役割が高まってきています。
~「資質・能力」を育むための、個別の指導計画の再定義~
次期学習指導要領に向けた議論が深まる中、私たち特別支援教育に携わる者にとって、その中核となるのはやはり「自立活動」の充実です。アンケートでも「ICF(国際生活機能分類)との関連」や「PDCAサイクルのスパン」について熱心な記述がありました。
自立活動を、単なる「訓練」ではなく、子どもの「一生の資質・能力」に繋げるための視点を整理します。
1 「三つの柱」を自立活動に落とし込む
次期改定でも重視される「資質・能力の三つの柱」を、自立活動の文脈で捉え直してみましょう。
・知識及び技能:自分の障害の状態を理解し、どのような補助具や手立て(合理的配慮の要求を含む)が必要かを知っていること。
・思考力、判断力、表現力等:直面した困難に対して、「どうすれば解決できるか」を考え、他者に助けを求めたり、方法を調整したりできること。
・学びに向かう力、人間性等:失敗しても「次はこうしよう」と思える自己肯定感や、自立への意欲を持つこと。
2 「社会モデル」は医療モデルを内包したもの
アンケートに「ICFと自立活動の関連」という意見がありました。自立活動の目標設定において、ICFの視点は欠かせません。
・医療モデル:「歩けないから、歩けるように訓練する(身体機能の改善)」
・社会モデル(ICFの視点):「歩きにくくても、車いすや環境調整を使って、みんなと一緒に活動に参加できる(活動と参加)」
自立活動の目標を「機能の回復」だけに置くのではなく、その先の「社会の中で何ができるようになるか(参加)」に置くこと。これが、次期指導要領が求める「社会に開かれた教育課程」の第一歩です。
3 「自立活動の流れ図」を形骸化させない
「短時間で設定できる方法」を求める声もありましたが、大切なのは「書く作業」の速さではなく、「仮説の精度」です。
・実態把握(なぜできないのか?):身体的な要因か、感覚的な要因か、それとも環境の要因か。
・指導目標(どうなりたいのか?):1年後の姿だけでなく、18歳(卒業時)の姿から逆算できているか。
・手立て(何をするか?):学校の授業だけでなく、家庭や地域でも「般化」できる再現性のある手立てか。
4 合理的配慮と「合意形成」のプロセス
次期指導要領では、合理的配慮の提供がより具体的に求められます。自立活動で身に付けた力が、そのまま「合理的配慮を自分で求める力(セルフアドボカシー)」へと繋がっていく。この一貫性が、個別の指導計画の質を高めます。
【自立活動の「PDCA」を活性化させる問い掛け】
・「その目標が達成されたとき、その子の『暮らし』はどう豊かになりますか?」
・「学校での特別な指導(自立活動)で学んだ内容をそれ以外の時間で使えていますか?」
・「この目標設定に、本人や保護者の『願い』はどれくらい反映されていますか?」
自立活動は、私たち教師の専門性が最も発揮される領域です。「流れ図」を埋めることが目的にならないよう、常に「子どもの未来の姿」を職員室で語り合っていきましょう。
9月の地域参観日に参加いただいた皆様、ありがとうございました。
令和8年度の七飯養護学校では「子どもを真ん中に」を合言葉に、保護者や地域の皆様と共に歩む学校づくりを進めてまいります。
学校経営方針を具体化するため、教職員のプロジェクトチームを中心に本年度の教育活動のグランドデザインを策定しました。