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SEVEN☆RICE~ぼちぼちいこか

#65 子どもの行動を考える~機能的アセスメント②(令和8年7月6日)

 3 校内で実践するための「3つのステップ」

学校現場で機能的アセスメントを活用する際は、以下のステップで組織的に進めていきましょう。

1 事実のみを客観的に記録する:まずは1〜2週間。

「わがままを言った」「サボろうとした」といった教師の主観(感情・解釈)は交えず、「プリントが配られた(A)」「机に突っ伏した(B)」「休み時間までそのまま過ごした(C)」のように、目に見える事実だけをABCの枠組みで記録します。

2 ケース会議で「機能」を仮説立てる

学年主任やコーディネーター、学部主事等と「この子は課題が難しくて逃げたかった(逃避の機能)のではないか」と行動の目的を推測します。背景にある特性(見通しが持てない、感覚過敏など)も考慮します。

3 「適切な代替行動」を教える

行動マトリクス(PBSの考え方)などを用いて「大声を出すのをやめなさい」と禁止するのではなく、同じ機能を満たす適切な方法を教えます。例えば、逃避が目的なら「『手伝ってください』のカードを出す」、あるいは「『1分休憩します』と伝える」といった代替行動を練習させ、それができたら徹底的に褒め、要求を叶えます。

 

私たち特別支援教育の専門家は「困った行動をする子」ではなく「今、本人が一番困っている子」と捉えることが基本です。子どもは自分の気持ちを言葉でうまく伝えられない代わりに、行動でSOSを出しています。

機能的アセスメントの最大のメリットは、教師側が「この子はわざと困らせているわけではない。環境や関わり方に原因があるんだ」と冷静に、前向きに捉えられるようになることです。

担任一人で抱え込む必要はありません。組織で取り組んで行きましょう!

#64 子どもの行動を考える~機能的アセスメント①(令和8年6月29日)

授業中や集団行動の中で「大声を出す」「教室を飛び出す」「パニックになる」といった、対応に苦慮する行動(いわゆる行動障害や課題のある行動)に出会うことがあります。

こうした行動に直面したとき、私たちはつい「どうやって止めさせるか」という対処に目が向きがちです。しかし、子どもたちの支援において大切なのは、行動を力尽くで抑え込むことではなく、「その行動が持つ『意味(機能)』を理解すること」です。

今回は、そのためのツールである「機能的アセスメント(Functional Assessment)」について共有します。

1 機能的アセスメントとは?

機能的アセスメントとは、子どもが特定の行動を起こす「原因(きかっけ)」と、その行動によって得ている「結果(メリット)」を客観的に分析し、その行動が果たしている「機能(目的)」を知る手法です。

応用行動分析の視点に基づき、行動を単発の現象ではなく、以下の「ABC」という3つの要素のつながり(三項随伴性)で捉えます。

・A(Antecedent:先行条件):行動の直前に何があったか(場所、人、指示、環境など)

・B(Behavior:行動):子どもが実際に取った具体的な行動(大声を出す、叩くなど)

・C(Consequence:結果):行動した後に、環境や周囲の反応がどう変化したか

 

2 不適切な行動が持つ「4つの機能」

 子どもたちが起こす行動の目的(機能)は、大きく次の4つのいずれかに分類できると言われています。

機能(目的) 具体的な状態の例
① 要求・獲得 好きなおもちゃが欲しい、注目を浴びたい、褒められたい
② 逃避・回避 苦手な課題から逃れたい、うるさい教室から離れたい、休憩したい
③自己刺激(感覚) 手をひらひらさせる、体を揺らすなど、その行動自体が気持ちいい
④ 嫌悪刺激の除去 体調不良(頭痛や腹痛)や、着ている服のチクチク感から逃れたい

例えば、「授業中に大声を出す(B)」という行動があったとします。

・それが「先生にこっちを向いてほしいから(①注目獲得)」なのか、

・「今の課題が難しくてやりたくないから(②逃避)」なのか、

機能によって、私たちが取るべき支援(アプローチ)は180度変わります。

 

 分校のある先生と児童の関わりを紹介します。4月当初、いわゆる汚言の多い児童でしたが、その機能は教師の注目を獲得するものが多いと判断し、視覚的に適切な関わり方を示しつつ、好ましい行動ができたときに称賛する(注目が獲得)できる取組を継続しています。今では、奇麗な言葉、気持ちのよい言葉が増えてきています!

#63 あまり会うことのない保護者との絆の紡ぎ方(令和8年6月22日)

普段、子どもがスクールバスを利用していたり、仕事などで学校行事への参加が難しかったりするなど、日頃なかなか直接お会いする機会が少ない保護者がいます。「顔が見えないと、こちらの思いが伝わっているか不安になる」と感じることもあるかもしれません。

しかし、「会えない=学校に関心がない」ではありません。仕事や家庭の事情で来校できなくても、我が子を思う気持ちは共通です。

むしろ、滅多に会えないからこそ、たまに会えた時の「印象」が大切になります。

接点が少ない保護者の方から「この先生なら安心だ」と信頼を寄せていただくための、3つのアプローチを共有します。

1 「文字」を味方につける 〜日常の小さなプラスの共有〜

顔を合わせられないからこそ、連絡帳やプリントなどの「文字」が強力な架け橋になります。

・「事実+褒め言葉」を連絡帳に

提出物などの連絡事項だけでなく、「今日、〇〇さんが友達を助けてくれました」「係の仕事を最後までやり遂げてくれました」といった具体的なプラスの姿を、ほんの2~3行書き添えてみてください。

 

2 「電話」のハードルを下げる 〜「事件・事故」が起きる前にかける〜

保護者への電話が「トラブルや怪我の報告」だけになってしまうと、着信画面を見ただけで保護者は身構えてしまいます。

・「1分間のハッピーテル」のすすめ

何事もない平和な時にこそ、電話をかけてみましょう。

「いつもお忙しい中、提出物等にご協力いただきありがとうございます。最近、〇〇さんが授業中とても良い表情で挙手してくれるので、嬉しくなって電話してしまいました。お家での様子はいかがですか?」

これだけで、保護者の警戒心は解け、強力なファンになってくれます。

 

3 「たまの出会い」を最高の瞬間に 〜個人面談や行事での演出〜

年に数回の個人面談や、学校行事など、数少ないリアルな接点は最大のチャンスです。

・ウェルカムの姿勢を全身で表す

「いつもお忙しい中、お時間を作っていただきありがとうございます」という感謝の先制パンチ。「やっとお会いできて嬉しいです!」という笑顔とアイコンタクト。

・「私、あなたのお子さんをしっかり見ています」を証明する

お目にかかれたとき、まずはその子の「最近の具体的な良いエピソード」から話を始めます。これにより、「この先生はうちの子をよく見てくれている」という安心感が生まれます。

 

保護者との信頼関係は、劇的な大イベントで生まれるものではありません。日頃の丁寧な言葉遣い、提出物への一言コメント、電話での明るい声といった「小さな丁寧さの積み重ね」によって作られます。

「いつもお会いできないからこそ、お伝えしたいことがあります」そんな温かい姿勢で、普段お目にかかる機会の少ない保護者とも、つながっていきましょう。

#62 人権尊重と障がい特性に応じた指導(令和8年6月15日)

私たちが日々の教育活動の中で、時に混同しやすい、あるいはその境界線に悩むことがある「人権尊重」と「障がい特性に応じた指導(合理的配慮・個別の指導)」の「違い」と「つながり」について、共有します。

一言で言えば、これらは対立するものではなく、「人権尊重という土台の上に、障がい特性に応じた指導が成り立つ」という関係にあります。

〔2つの概念の違いと関係性〕

この2つを明確に区別し、適切に組み合わせることで、子どもたちの「生きづらさ」を解消することができます。

項目 人権尊重 障がい特性に応じた指導(合理的配慮など)
基本的なスタンス 全ての児童生徒を「一人の尊い人間」として一律に大切にすること。 障がいや特性という「個別の違い」に焦点を当てて、具体的に対応すること。
目指すもの 差別や偏見をなくし、誰もが傷つけられない安心・安全な環境をつくる。 学びや生活の「障壁(バリア)」を取り除き、教育の機会均等と自己実現を保障する。
具体的なアプローチ

・言葉遣いや態度の尊重

・プライバシーの保護

・意見を聴く姿勢

・視覚的なスケジュール提示

・感覚過敏への環境調整(イヤーマフ等)

・ICT機器の活用、課題量の調整

イメージ 全員に同じ「安心の土台」を用意する。 階段を登るのが難しい子に「スロープ(補助)」を用意する。

〔なぜ、この違いを意識する必要があるのか?〕

1 「人権尊重」だけで終わらせない

「私はどの子も差別せず、平等に優しく接しています」という姿勢は素晴らしいものです。しかし、言語理解の難しい子や聴覚過敏のある子に「大きな声で指導したり、指示の多い授業では、その子どもの「分かる・見通せる」環境にはなりません。

人権を尊重しているからこそ、その子の困っていることに気付き、具体的な環境調整や指導法の工夫(=特性に応じた指導)へ進む必要があります。

 

2 「特性に応じた指導」を特別扱い(特権)にしない

他の児童生徒から「なぜ〇〇君だけ△△を使っていいの?」「ずるい」という声が上がることがあります。

ここで重要なのが、「必要な配慮を行うことは、その子の学ぶ権利を守るための『人権尊重』の行動であり、ずるいことではない」という共通理解です。特別扱いではなく、スタートラインを揃えるためのプロセスであることを、教職員間や保護者、児童生徒に丁寧に伝えていきましょう。

 

先生方に意識していただきたいのは、「その指導や配慮は、子どもの自立と尊厳につながっているか」という視点です。

特性に応じた指導は、大人が先回りして全てを助けることではありません。子ども自身が「自分はこういう工夫があればできるんだ」と自信を持ち、自分の特性と付き合っていく力を育むことを目指します。これこそが、「20年後の姿」や「自分の明日をデザインすること」につながる、子どもの「人権」を最も尊重した教育的なかかわりです。

 悩んだときは、一人で抱え込まず、学年主任、学部主事、コーディネーター、そして管理職も巻き込んで、組織で最善のステップを考えていきましょう。

 子どもたちの可能性を広げるため、「子どもを真ん中に」これからも一緒に丁寧な実践を積み重ねていきましょう。

#61 子どもの「できた!」を育てる~「シェイピング」の技法(令和8年6月10日)

1学期も後半に入り、子どもの良い面だけでなく、学習や生活面での「課題」も見え始めてくる時期ではないでしょうか。

「何度言っても身支度をしない」 「授業中の私語が止まらない」 「ルールを守れない」

そんな子どもを前に、指導の難しさを感じ、時には焦りや苛立ちを覚えてしまうこともあるかもしれません。そんなとき、ぜひ試していただきたいのが、行動分析学の理論である「シェイピング(行動形成)」というアプローチです。

シェイピングとは・・・。

一言で言えば、「最終目標を一気に求めず、階段を一段ずつ登るように、スモールステップで目標に近づけていく方法」です。

私たちは無意識のうちに、子どもに「完璧な状態」を求めてしまいがちです。しかし、それができない子どもに対して「なぜできないんだ」と叱責しても、行動は改善しません。それどころか、生徒の自己肯定感を下げ、反発を生む原因にもなります。

シェイピングでは、目標を細かく分解し、「少しでも、目標に近づく行動ができたら、その場で認めて褒める」というステップを繰り返します。

〔学校現場での具体例〕

【例1:身支度をしない子ども】

 ・×NGな対応:「エプロンや連絡帳を所定の位置に置くまで、そのことをやらせ続ける」

 ・〇 シェイピング: 1. まず「カバンを開けたこと」を褒める。 2. 次は「連絡帳を出せた(持った)こと」を褒める。 3. 最終的に「身支度」へ繋げる。

【例2:授業中に立ち歩いてしまう生徒】

 ・ × NGな対応:「授業中、1回も席を立つな」と厳しく接する。

 ・ 〇 シェイピング:①最初の5分間、席に座っていられたら「よく集中しているね」と声を掛ける(認める)。②次の10分、その次は15分……と、徐々に基準を伸ばしていく。

〔3つのポイント〕

1 初期設定は「低すぎる」くらいでいい

スタートのハードルは、その子どもが「確実にできるレベル」まで下げてください。

2 「できた瞬間」にフィードバックする

時間が経ってからでは効果が薄れます。その場での一言、あるいはすれ違いざまの「さっきの良かったよ」が、子どもの次の行動を引き出します。

3 ステップを戻すのは「指導の失敗」ではない

次のステップに進んで失敗したら、基準が高すぎたということです。また一つ前のステップに戻れば良いだけです。焦る必要はありません。

 

子どもの行動を変えるのは、感情的な叱責ではなく、「適切なステップのデザイン」と「ポジティブな関わり」です。

先生方の心の余裕が、生徒の確実な変容を生み出します。ぜひ、日々の学級経営や教科指導のヒントにしてみてください。