ある研修会で聞いたすごい学校の話を紹介します。その学校では講師を呼んで校内研修を実施する際、その講師から研修の2ヶ月前に研修資料をもらうそうです。資料だけでなく、関連する書籍、論文などを講師から指定してもらい、職員全員が読み込みを行うそうです。
そして研修当日、例えば90分の研修であれば、冒頭の20分程度で講師の話を終え、その後の60分は先生方が講師に質問をぶつけ、暗黙知を形式知に変えたり、質問に関する考え方などの共通理解を図っているそうです。
そして最後の10分は講師に話し足りないことを説明してもらうそうです。この学校が行っている研修のスタイルは、一般的な受講型の研修に比べると、学びの質が異なると思います。このスタイルを経験した講師はタジタジになったと話していました。
この学校の特徴は、教職員の自主・向上性と同僚・協働性が高く、学校全体の教育実践の方針に教員個人の教育実践が位置付き、チームワークを考えながら個人の能力を発揮している状態であり、教職員一人一人の意識や組織力の高さは言うまでもありません。同じ時間をどう使うか、研修や会議の持ち方を考えさせられる機会となりました。
本校・分校の職員会議で話した内容です。
この半年を振り返ると、本校では、文科省のインクル事業で素晴らしい交流及び共同学習や、地域食堂と温かみのある連携など。
また、分校では、石別大運動会の参加種目の拡大や、今金町での居住地校交流など、これまでの取組が充実したものもあれば、新たな取組となったものがある。
改めて先生方への感謝をお伝えしたい。
今年度も残り、半年を切った。本校・分校の素晴らしい教育活動を如何に持続可能なものとし、発展させていくか。その際、今年度の重点である「チームで」というファクターを通して評価していくことが重要であると考えています。
「チームで」=集団を意味しますが、今年度の先生方の取組の様子から、本校では、様々な背景のある子どもたちに対するケース会議が行われ、困難を解決するための建設的な話し合いがもたれていた。また、分校では、あおいそらのコンサルテーションを通して、子どもたちへの指導・支援が充実してきたことは、評価すべき内容と考えている。
ここまで個にスポットを当てて、子どもたちのために取り組んでいる学校は少ないのではないか、本校・分校とも校長として誇らしく思うと同時に、次のステージ
・全職員が学校経営に主体的に取り組む段階
・全職員でより組織的に取り組む段階
にチャレンジするべきではないかと感じている。
評価の話に戻りますが、学校では一般的に、授業や行事などその時々の評価や、時期に応じて実施する年度末評価、学校評価があります。これらの評価は、そのものの善し悪しを評価したり、具体的に改善することには適していますが、組織そのものを評価することは難しいという側面があります。
どういう組織が、望ましいか。それは、令和の日本型学校教育などを踏まえると、変化の激しい社会、多様化する様々な問題に対応できる組織です。学校は従来から鍋蓋式の組織と言われることが多いのですが、鍋蓋式の組織では、様々な課題を解決したり、変化を受け入れたりすることが難しいと言われています。
今求められている組織は全ての教職員が自主性や向上心と同僚性と協働性を兼ね備えている、自走する学校組織です。それは、全ての先生が教職に対して、やりがいと幸福を感じるウェルビーングな組織を意味します。
組織を評価するといっても、学校と一般企業では、その性格も異なることから、企業とは方式が異なります。そのため、早稲田大学の河村先生が開発した尺度を用いて本校・分校の組織の状況を分析し、可視化することやホワイトボード・ミーティングの手法を用いて、コミュニケーションを高めたり、経験値や暗黙知を標準化するなど、先生方の所属意識がさらに高まる「職員全員が活躍できる組織」を目指したいと思います。
こうした取組は、学校教育目標や目指す学校像など、根幹部分の見直し、教育課程の改善や分掌業務或いは配置人数の見直し、PDCAを前提とした諸会議の実施やゆとり時間の確保など、検討すべきことは多岐に渡ることも想定されますが、チームで、子どもたちのためにあるべき組織の姿を共有したいと思っています。
今年度から分校で実施している居住地校交流について紹介します。居住地校交流とは特別支援学校に在籍している子どもが、本来通うはずだった地域の学校と交流及び共同学習を行うことです。今回の取組は、保護者の意向はもとより、分校と相手校の先生方の協力、そして子どもの居住地である町教育委員会の全面的な支援(分校から居住地までの送迎、発達支援センター職員が子どもを支援、保護者との連絡調整など)で実現したものです。
町教委の方に話を聞くと、「町の子どもは町で育てる!」「学ぶ学校(場)が異なっても、町の子どもには変わりない!」とのことです。
こうした熱い想いのもと、実施された1回目の居住地校交流では、小学校の玄関をくぐることに長い時間を要しましたが、町職員を始めるとする大人の粘り強くも温かい対応と子どもたちの働き掛けにより、レクレーションや給食など有意義な活動を体験することができました。
そして2回目の交流は、前回と比較にならないほどスムーズに学校に入り、体育の授業に参加し、給食を食べました。体育の授業では①ラジオ体操②柔軟体操③枕(クッション)投げ④転がしドッジボールで構成された45分の授業に参加しました。これは特別支援学校の課題である豊富な学習量が用意(#01と関連)されていて、我々も学ぶべきことがたくさんあると思いました。また、本児の支援に当たっている町職員の関わり方(#02と#23と関連)ティーム・ティーチングが素晴らしかったです。さらに#30でも触れたように、たくさんの見本があるので、列に並んで話を聞いたり、集団に合わせて行動したりする場面が多く、参観した保護者は本児の成長と就学前まで一緒に過ごした子どもたちと共に学べる環境を喜んでいました。
本児は町教委から副学籍の扱いを受けています。教室には本児の机やロッカーも整備されており、学習環境も整ってきました。
居住地校交流は全国的に進んでいますが、北海道の学校は広域分散型などの地理的条件から、実施しているケースは少なく、分校と町教委の取組が最先端です。
今後、本校・分校に通う子どもの保護者が居住地校交流を希望する可能性もあります。「子どもたちのために」を合言葉に本事例から学び、成果や課題等を整理していけたらと考えています。
本校中学部2年生が七飯中学校の学校祭に参加しました。#22、#24で紹介した音楽の授業で取り組んだ手話歌「翼をください」です。中学校の生徒が作り出す(お手本があちらこちらにある)雰囲気もあり、普段の授業では、手話をしない生徒が手話をしたり、いつもより大きな動作をしたり、しっかりと歌ったり、本校の生徒も普段の音楽の授業の時よりも素晴らしいパフォーマンスを発揮していました!
学校祭に向かうまでの単元にブレがなかったこともあり、これまでインクル事業で課題となっていた共同学習の側面を克服し、3観点で評価できる取組となりました。
また、これまでの積み重ねがあるから、生徒同士が安心、信頼して関わり合うなど交流の側面もしっかり果たしていたことは言うまでもありません。
これまでも触れてきましたが、まずは集団を重視した授業が基本であり、その上で個別に配慮することの大切さ、集団の持つ力の可能性を改めて感じた瞬間となりました。
本校高等部2年生が、今年度の新たな取組として、渡島振興局と町内の果樹園に御協力いただき、農福連携(りんごの葉摘)に取り組みました。
本取組の良かったこととして3点。
1点目は単元計画を立てて取り組んだこと。特別支援学校の十八番と言える事前学習では、オーソドックスな行き先や活動内容に留まることなく、七飯町の産業やりんごの品種など、様々な実態の生徒に適した事前学習であったこと。また、事後学習では単なる活動の振り返りにとどまらず、自分の言葉で手紙を書いたり、事前学習で調べた品種による味の違いを確認するなど、単元をとおした学習活動であったことが評価できます。
2点目は#01でも伝えていますが、十分な作業量が保障されていたこと。実際に30分×2セットの授業でしたが、生徒はミルミル内に上達していきました。また、りんごの葉摘が難しい生徒には、落ちているりんごを拾うなど、個に応じた活動が提供されていたこと。その成果は果樹園の方へのお礼の場面で、ただ「がんばりました」というだけでなく、何が良かったのか、難しかったのは何かなど生徒が自分の気持ちを言語化していたことからも明らかです。
3点目は様々な方から助言いただいている、体力を高める内容であったこと。計60分の立ち仕事をこなし、帰りの道中も歩いて帰ってきたこと。本物の作業体験をした生徒は自信と充実感に溢れ、頼もしい姿でした。
これから期待したいことは、貴重な本物の経験を次年度の教育課程に反映していくこと、普段の作業学習の当たり前を見直すことです。貴重な経験をした先生方は、答えは地域にある、生徒の気持ちを揺さぶることが大切と感じられたのではないしょうか。今後の教育活動(教育課程)に「つながり」「つなげる」ことの大切さを学んだ1日でした。
9月の地域参観日に参加いただいた皆様、ありがとうございました。
令和8年度の七飯養護学校では「子どもを真ん中に」を合言葉に、保護者や地域の皆様と共に歩む学校づくりを進めてまいります。
学校経営方針を具体化するため、教職員のプロジェクトチームを中心に本年度の教育活動のグランドデザインを策定しました。