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SEVEN☆RICE~ぼちぼちいこか

#23 MTとSTの役割を確認する×やりとり機会を創出する(令和7年9月22日)

 ティーム・ティーチングを少し工夫するだけで、子どもの成長を促すことができます。ここでは、#02と#14、#15に関連して説明します。

 体育で体操する場面や音楽で手遊びなどを指導する場面を観察していると、図右上のような指導体制で子どもの動きを引き出そうとしている様子を見掛けます。この場合、T2の先生がT1の先生と同じ動きをしていても、子どもからは見えないので全く効果がありません。右上で子どもの動作を促すのであれば、T2はT1への注目を促すことと、子どもが適切な動作が行えるよう、身体的プロンプト(介助ではなく、気付きを促す)を出すことなどが求められます。

 また、動作はまだぎこちないけれども、みんなの前に立って「お手本になりたい」というモチベーションの高い子どもがいる場合には、図中央のような指導体制でT3の先生がモデルを示して、C1に手掛かりを与えることが有効であり、子ども同士のやりとり機会にもつながります。

  さらに、全体指導でT1を注視することが難しい集団や、集中的に技能を高めたい場合には、図下のように複数の先生が前に出て、子どもの動きを引き出した方が活動のねらいに即した指導を行うことができます。

  普段何気なく行っているティーム・ティーチングは、とても深い指導方法です。今一度、学級や学年で打ち合わせるなど、チームで子どもたちの成長を促していきましょう。

#22 「質」と「量」を考える×MTとSTの役割を確認する(令和7年9月16日)

 七飯中学校学校祭の舞台で披露する中学部2年生の音楽(手話歌「翼をください」)の単元が始まりました。ここでは、#01と#02に関わる内容を中心に説明します。

 授業は、発声、音に合わせた動き、手話歌・・・と進むのですが、どの活動も活動量が十分に確保されていること、MTの全体への指示が明確で、発問や指示を出すときの声の強弱、テンポも工夫していました。また、STは生徒がMTに注目できるような働き掛けに徹していて集団の授業として理想の形となっていました。

 授業を行う上で大切なのは、集団全体に分かりやすい指示や手掛かりを行うこと、十分な学習量を保障することです。その上で個別の配慮を行い、活動の質を高めていくことが基本です。

 興味のある先生は中2学年団に相談の上、参観し、この授業の良さを体感してください。

 

 また、本実践のよいところは単元計画を定め、単元初期の授業は「知識・技能」が高まるよう、活動量を十分に確保しています。単元が進むにつれて「思考力・判断力・表現力等」に関わる指導を行うなど、単元をまとまりとして捉え、育成すべき資質・能力を生徒が身に付けられるよう学年の先生方が共通理解を図り、指導を行っていることです。手話歌「翼をください」の題材は毎回取り組んでいますが、授業ごとのねらいに応じて、指導内容が異なるので、生徒も生き生きと活動しています。

 

 その結果、音楽の楽しさを子どもが感じ、授業を重ねるうちに、大きな声で歌唱する生徒や歌に合わせて、大きな動作で手話をする生徒が増えるなど、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」が高まってきており、今後が楽しみです。

 

 好事例を参考にチームで専門性を高めていくことを期待しています!

 なお、個別の指導計画にかかわり、前期の評価や後期の目標を立てている時期だと思います。分校の湯谷教頭が研修で学んだ内容をまとめていますので参考にしてください。

#21 教材の使い方にもステップがある×やりとり機会を創出する(令和7年9月8日)

 プリント学習に取り組んでいる子どもはたくさんいると思いますが、ただ問題を解くことだけにとどまっていませんか。ここでは#05、#14、#15に関連する本校小学部6年生の取組を紹介します。

 当該児童は解が3桁になる足し算に取り組んでいます。1枚のプリントに16問の問題(横に4問、縦に4問)が準備されており、声に出しながら先生と確認しながら取り組んでいて、筆算の要領がつかめてきたところで、1列(4問)の解の中で、「一番大きい数字は?」「一番少ない数字は?」といった発問を行いました。機械的に計算ができる子どもはたくさんいますが、このように算数がもつ面白さ、数量の概念を常に確認しながら、課題に取り組むことは、金銭や買い物、時刻と時間の学習にもつながります。

 

 また、計算と数の大小概念を確認した後、声を出さずに計算することに取り組みました。頭の中で計算し、答えを出すことは一見簡単そうに見えて、実は難しいことです。当該児童は、求められていることをすぐに理解し、実行していました。その結果、声に出していたときと比べると、明らかに計算の速度が上がりました。「声に出さずに計算できる=頭の中で数を操作できている」ということですから、国語でも黙読できる可能性が高く読解や出来事を思い出しながら日記を書くことにも成長が期待できます。

  手続きをコロコロ変えると混乱する子どもは混乱しますが、手続きが定着したら、一つの教材で多様な関わり方を試し、子どもの可能性を探っていくことにチャレンジしてみてください。

#20 「楽しさ」を考える(令和7年9月1日)

 子どもに知識や技能を授けようとするときに、よく行われる方法として課題分析があります。例えば歯磨きをするときに、①歯ブラシに歯磨き粉を付ける。②歯ブラシを口の中に当てる。③うがいをする。などの手順で、「できているところ、できそうなところ、できていないところ」を評価し、指導を進める方法です。

 

 私は教員時代、子どもの余暇を研究している時があり、家庭でも楽しめるようにトランプを教えていました。筑波大学の野呂先生に「楽しさを課題分析してはどうか」と助言され、「どきっ!」としたことを今でも覚えています。

 

 当時「ババ抜き」をしていて、このゲームの楽しさは「数字をマッチングすること」と「ジョーカーを引かないこと」です。特に数字をマッチングすること(スキル)は、子どもたちも理解しやすく、すぐに覚えます。しかし、ジョーカーを引いてしまったときの感情や対応の仕方を教えることやジョーカーを引かなかった時のうれしさを子どもに教えることは、なかなか難しいです。そのため、配るトランプの枚数を少なくし、このことが起こりやすい状況をつくり、繰り返しの指導をしました。そうすると、絶対に勝ちたい(いわゆる1番病)の子どもも、ジョーカーを引く頻度が多いので、勝つことだけにこだわなくなったり、あまり感情を出さない子どももトランプを抜くときのドキドキ感を表情に出すようになったりするほか、休み時間に自発的にトランプを楽しむ様子が見られるようになりました。

 

 この時の学びを生かして、別の子どもたち(小学部中学年)には「自転車に乗ること」を教えました。自転車に乗る楽しさを「風を切る爽快感」と「バランスをとるハラハラ感」とし、最初に行ったのが、ペダルを外して、坂道を下ることです。「危ない」と思う人もいるかも知れませんが、危なさは子どもが一番分かっているので、転びそうになる前には、足をついて減速しますし、バランスが取れているときには、笑顔で風を切る爽快感を楽しんでいました。こうして楽しさを十分に味合わせてから、ペダルを漕ぐことも教えました(多分、ペダルこぎから教えたら、楽しくなかったと思います)。

 しばらくすると指導していた子ども全員が乗れるようになったので、グランドや校舎まわりを時間いっぱい走ったり、交通公園に入って信号を守ることや一時停止することなど交通ルールを指導しました。こうした様子を保護者にも実際に見てもらうことで、「家庭によっては見通しのよい道路で子どもとサイクリングに出かけた」という報告を受け、嬉しかったことを覚えています。

 

 夏休み、本校の高等部1年生生徒と先生方がチームを組んで、ティーボール大会に出場しました。分校では子どもたちの絵画や書道作品を「いさりび鉄道作品展」に出展しました。学校で行う活動には、楽しい要素がたくさん詰まっていると思います。「楽しさ」を課題分析して、子どもたちが「楽しさ」を感じられる活動をたくさん行ってほしいと考えています。

#19 行動上、課題のある生徒への対応を考える(令和7年8月25日)

※終業式の日に本校集会でお話した内容です。

 「個人攻撃の罠」という言葉をご存知だろうか。行動分析の言葉であるが、行動変容を求める手立てを行うのではなく、「家庭的に保護者が難しいから」や「あの子は変わらない」、「担任団が悪い」「協力を得るのが難しい」など、人のせいにして十分な手立てを施さないことを「個人攻撃の罠に陥る」という。

 本校には無縁かもしれないが、個人攻撃の罠に陥らないため、私の事例をもとに上げたい。14年間の教員生活の半分は行動上大変と言われる子どもを担任してきた。私の教員人生の価値観を変えたのは約25年前に知り合ったsさん。高等部の3年間を担任していた。IQの程度でいうと40程度ある自閉症を合わせ有する生徒であった。高1の終わり頃から、家庭で大変ということで登校がままならなくなった。

 学校に登校しても、トイレに長時間こもったり、特定の職員をみては、興奮したり、小学部など、小さい子どもの声に反応しては大きなトラブルに発展していた。体重が100キロある生徒であり、一度トラブルが起こると、モノは壊れ、人は怪我をする、気持ちも折れる、そんな毎日であった。どういった状況でトラブルが起きているかデータをとったところ、特に多かったのが、給食の時に特定の職員を見かけ追いかけ回すということであった。

 食べることが大好きなsさんであったが、データに基づき、私は担任として学部主事と管理職、保護者に給食を止めて、自炊すること、日課は集団とは別日課を原則とすることを提案し、了承を得た。基本的には別室対応で、1-1の指導を行い、例えば、うどんを作るとなれば、朝から小麦粉を踏み、生地を寝かす時間には課題学習を行ったり、軽作業を行った。教育課程上の位置付けは自立活動を中心とした。

  食費は保護者から月に1万円負担してもらった。この取組から学んだことは、活動で支えることです。知的障害と自閉症や発達障害を持つ子どもたちに私たちの正論をぶつけても、こちらが期待している行動をすることは難しい場合が多い。自然発生的に望ましい方向に行動変容することは、ほぼない。だとしたら、問題行動が起きにくい状況づくり、すなわち問題を起こすからこそ、具体的な活動で子どもの行動を支えることの大切さを学んだ事例です。

 この事例には続きがあって、月曜日から金曜日まで、担任である私がsさんを個別で見ることは他の生徒もいることから難しかった。そのため、学級付き、学部付きの先生が同じ取組を行うだけでなく、小さな子どもを不用意に近付けないなど、他学部の先生にも自分ごととして、協力をいただいた。

 具体的な方針のもと、子どもを行動で支えるうえで、チームで取り組むことの重要性を学んだ取り組みであった。こうした取組の結果、問題行動が激減し、卒業時期には問題行動も激減し、行事への参加や一部の授業には集団参加が可能な状態となり、進路も決定した。

 本校には、様々な背景を持つ子どもが在籍している。本校では年間約1,000時間の授業時数を配当し、指導を行っている。3年間で3,000時間、6年間で6,000時間、12年間で12,000時間である。この貴重な時間が「個人攻撃の罠に陥らないよう」また、本校の教育が次のステップに進むためには「学校が楽しい」と子どもが感じる授業づくりが重要になると考えている。

 教員時代の私が管理職や周囲の先生方に協力いただいたように、積極的なアプローチは特別日課も含め、校長として応援したい。これまでの指導を振り返っていただき、「子どものために、チームとして」必要に応じて2学期以降の実践を改善してほしい。