ブログ

SEVEN☆RICE~ぼちぼちいこか

#58 子供たちと向き合う時間を生み出すために②(令和8年6月1日)

~「働き方改革」を通じた質の高い教育活動の実現に向けて~道内編

今、他校でも「先生の持ち時間をどう生み出すか」という工夫が次々と始まっています。「これは助かるかも」と思える、具体的な事例をいくつか紹介します。

1 「手作業」を「システム」に任せる

事務的な負担を減らし、子どもと向き合う時間を1分でも増やす工夫です。

 ・「書く」負担を減らす:指導計画の作成をゼロから書くのではなく、よく使う文言を「プルダウン」で選べるようにシステム化し、作成時間を短縮。

 ・「探す・共有する」を楽に:会議資料など様々な書類をデータ化。PCでいつでも確認でき、重い紙の束を持ち歩く必要をなくす。

・ 「即時レスポンス」で解決:本校でも実施していますが、チャットツールを使い、ちょっとした相談や報告をその場で完結。会議のために集まる時間を減らしています。

2 「役割」を整理して、授業に集中する

「あれもこれも」ではなく、役割を絞ることで心のゆとりを生み出しています。

 ・ 思い切った分業制:「担任は作業学習に参加しない」というルールを決め、その時間を授業準備や記録に充てる体制を整えた学校があります。

 ・ 事務ルートの「ショートカット」:決裁のルートや、外部からの依頼を受けるルールを管理職が整理し、先生方の手間をカットしています。

3 一人で抱え込まず「チーム」で守る

一番の負担軽減は、困ったときに「助けて」と言える環境です。

 ・  「得意」を貸し借りする:「得意なことリスト」を共有し、ICTが苦手なら得意な先生に、教材作りが苦手なら得意な先生に、互いに頼り合える空気を作っています。

 

 ある書籍によると、「働き方改革=職場での勤務の仕方」というイメージが強いのですが、御自身の睡眠時間や余暇時間から逆算するという考え方が示されていました。個人差はありますが理想とされる平均7時間の快適な睡眠を取るためには、何時に帰宅して、就寝、起床するか、好きな余暇の時間を確保するために、何時に退勤するか。自身で働き方をコントロールすることが、「教職員の心の余裕→児童生徒の笑顔につながる」という考え方です。是非、参考にしてください。

#57 子供たちと向き合う時間を生み出すために①(令和8年5月25日)

~「働き方改革」を通じた質の高い教育活動の実現に向けて~道外編

1 「会議」のあり方を見直し、スピード感のある校内運営を

会議は情報共有のために重要ですが、長時間の会議は教材研究や児童生徒への授業準備の時間を圧迫します。そこで、以下のルールを徹底している学校があります。

〇 「説明」から「質問」へのシフト

 伝達事項は事前に資料を作成・共有します。担当者が事前準備を行い、会議参加者60人への説明時間を5分ずつ短縮することで、全体で300分の削減につなげています。

〇 会議の冒頭10分を「読解タイム」に

 開始直後に資料に目を通し、会議は「質問」からスタートしています。これにより、説明の重複を省き、定時終了を徹底しています。

〇 情報格差の解消

 時差勤務等で出席できない職員も、資料を読み込むことで出席者と同じ情報を得られる体制を整えています。

 

2 メリハリのある勤務スタイルの確立

「だらだらと残らない」意識を醸成するため、視覚・聴覚に働きかける工夫を行っている学校があります。

〇 マイ定時退庁日と「完全定時退庁日(金曜日)」

 個々の業務状況に合わせた「マイ定時」の設定に加え、金曜日は一斉に定時退勤を促している学校があります。週末のリフレッシュを充実させることで、月曜日からの活力へとつなげているそうです。

〇 環境と音での切り替え

 19時にはPCからBGMを自動で流し、退勤を促している学校があります。また、「クリーンデスク」を徹底し、退勤時はPCを閉じるだけで済むよう、日頃から整理整頓を徹底しているそうです。

〇 相談しやすい体制づくり

 「働き方改革推進担当」を明確にし、教職員が業務量や進め方について気軽に相談できる環境を作っている学校があります。

 

3 「チーム学校」としての業務平準化

誰か一人が業務を抱え込むことがないよう、役割の可視化を進めています。

〇 「実行プラン」と「ミッション」の共有

 「誰が・何を・いつまでに」行うかを全校で可視化している学校があります。

〇 ミドルリーダーの活躍

 担当教諭が明確なミッションを持つことで、チームでの業務分担(平準化)が進み、「ライン管理(適切な進捗管理)」による効率的な運営が可能になっている学校があります。

 

働き方改革の目的は、単に労働時間を短縮することではありません。無駄を省いて生み出された「時間」と「心のゆとり」を、子供一人一人へのきめ細やかな支援や、質の高い授業準備に還元することです。

これからも、教職員が一丸となって、より良い学校環境づくりに邁進したいと考えています。紹介した事例を参考に学部や分掌単位で実施し、効果が出た際には業務可視化シートに記入するなど、情報提供をお願いします。

 

※内田洋行教育総合研究所の「学びの場.com」には、授業で使えるツールが掲載されていますので、参考にしてください。

https://www.manabinoba.com/yakudatsu/

 

#56 教職員の対話を生む工夫(令和8年5月18日)

昨年度、いくつかの場面で「ホワイトボードミーティング®」という手法を取り入れました。また、ケース会議では毎回のようにホワイトボードを使用しています。

 

なぜ、会議にホワイトボードが必要なのか?

これまでの会議は、資料を読み上げ、決まったことを確認する「伝達型」が多く見られます。伝達型の会議にもメリットはありますが、ホワイトボードを使い可視化することで、次のようなメリットがあります。

◇ 意見の「空中戦」を防ぐ

 発言がその場で書き出されるため、「さっき誰が何を言ったか」が明確になります。意見が対立しても、ボード上で比較検討できるため、感情的な対立にならず、建設的な議論が進みます。

◇ 若手からベテランまで「全員参加」

 ボードを囲んで輪になることで、役職に関わらず誰もが意見を出しやすい雰囲気が生まれます。一人ひとりの経験やアイデアが可視化され、学校全体の財産になります。

◇ 「納得感」のある意思決定

 結論に至るまでのプロセスがすべてボードに残るため、参加した先生たちの満足度や実行力が高まります。

 

 教育課題が多様化する現代、必要なのは「みんなの知恵を出し合うこと」です。全ての教職員が学校経営に主体的に参加する上で、場面やねらいに応じて、会議のスタイルを工夫していく必要があると感じています。

#55 保護者の心に寄り添う「伝える技術」(令和8年5月11日)

〜響き合うパートナーシップを目指して〜

保護者との懇談は、私たちが日頃の指導の成果を伝えるだけでなく、保護者の皆様の「願い」や「迷い」を丁寧に受け止める大切な機会です。より良い連携のために、以下の4つのポイントを意識してみましょう。

1 「事実」に「感情の彩り」を添えて伝える

単に「〜ができました」という報告だけで終わらせず、その時のお子様の表情や、教師がどう感じたかをセットで伝えます。

・△  無機質な報告:「今日は着替えが一人でできました。」

・◎ 心に届く伝え方:「着替えが一人でできた時、〇〇さんはパッと顔を輝かせて私とハイタッチしてくれました。その誇らしげな姿に、私も胸が熱くなりました。」

2 「サンドイッチ法」で前向きな課題提示を

改善点や課題を伝える際は、ポジティブな内容で挟むことで、保護者の心理的負担を軽減し、前向きな協力体制を引き出します。

①  【肯定】 最近の頑張りや、素敵なエピソードから入る。

 ②  【課題】 「実は、今はここが踏ん張りどころで……」と具体的に相談する。

 ③  【展望】 「ここを一緒に支えていけば、さらに良くなりますね」と希望で締める。

3 「専門用語」を「日常の言葉」に翻訳する

私たちはつい「ADL」「スモールステップ」「視覚的構造化」といった言葉を使いがちですが、保護者にとっては馴染みが薄い場合もあります。

 例:「視覚的支援を行います」➡「パッと見て次は何をするか分かるように、写真カードを準備しますね」

 Point::相手と同じ景色が見える言葉選びを心掛けましょう。

4 「沈黙」を恐れず、聴く側に回る

教師が一生懸命話そうとするあまり、保護者が話すタイミングを逃してしまうことがあります。

・「お家ではいかがですか?」と問い掛けた後は、5秒間待ってみる。

・保護者の言葉を「〜と感じていらっしゃるのですね」と一度繰り返す(受容)。

 

結びに:私たちは「伴走者」です

保護者は、時に「自分の育て方が悪いのでは」と自分を責めてしまうこともあります。教師の役割は、正解を教える「指導者」である以上に、共に悩み、共に喜ぶ「伴走者」であること。

「先生に話してよかった」その一言が、お子様を支える大きな力になります。今一度、自分自身の言葉の「温度」を確かめてみましょう。

 #54 言葉一つで、授業の景色が変わる(令和8年5月7日)

特別支援学校の授業において、教師が発する「言葉」は、単なる指示ではありません。

それは、子どもたちの学びを支える「足場」であり、意図を持った「教材」でもあります。

同じ場面でも、「今日、この子に何を学んでほしいのか(ねらい)」によって、言葉掛けは180度変わります。その具体例をいくつかご紹介しますので、普段の授業や個別の指導計画作成の際に役立ててください。 


例1:着替え(シャツのボタンを留める場面)

 ◇ ねらいA:衣服を整える「手順」を定着させたい

  ・言葉掛け:「次は下から2番目だよ」「穴を見つけてごらん」

  ・解説:手順を視覚化・具体化し、成功体験を積み重ねることを優先します。

 ◇ ねらいB:手指の「巧緻性(器用さ)」を高めたい

  ・言葉掛け:(あえて言葉を減らし)「……(じっと見守る)……あ、つまめたね」

  ・解説:自分で試行錯誤する時間を確保するため、あえてヒントを最小限にし、自力で指先を使った瞬間を逃さず認めます。


例2:制作(のりを使って紙を貼る場面)

 ◇ ねらいC:のりの「適切な量」を知ってほしい

  ・言葉掛け:「アリさんの涙くらい、ちょんってつけてみようか」

  ・解説:「適量」という曖昧な概念を、子どもがイメージしやすい比喩に置き換えて伝えます。

 ◇ ねらいD:相手に「助けを求める(依頼)」力を育てたい

  ・言葉掛け:(のりを少し遠くに置いて)「……あれ?届かないね。どうする?」

  ・解説:困った状況をあえて作り出し、「手伝ってください」「のり、取ってください」と言い出せるきっかけを待ちます。


例3:体育(サーキット運動で平均台を渡る場面)

 ◇ ねらいE:身体の「バランス感覚」を養いたい

  ・言葉掛け:「おへそに力を入れて、前を見よう。そう、かっこいい!」

  ・解説:姿勢を維持するための身体感覚に意識が向くような言葉を選びます。

 ◇ ねらいF:「ルールや順番」を守る社会性を育てたい

  ・言葉掛け:「〇〇君が渡り終わったら、次はあなたの番だよ。……よし、スタート!」

  ・解説:動作の質よりも、他者との距離感や「待つ・交代する」という社会的な枠組みに焦点を当てます。 


私たちは「言葉のプロ」でありたい

このように、私たちは一つの動作に対して、常に「今のこの子には何が必要か」を問い続けています。何気ない言葉掛けを点検する機会としてください。