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SEVEN☆RICE~ぼちぼちいこか

#53 個別の指導計画は『その子どもの自立と社会参加を促す』設計図(令和8年4月27日)

 より精度の高い設計図にするためのポイント

① 表記・レイアウトの基本

まず、計画の『顔』となる部分です。常用漢字の誤字、脱字、箇条書きの記号(○や・)、行揃えを整えましょう。

なぜか? 読み手(精査をする人が)がそこに引っかかってしまうと、中身を精査できなくなるからです。保護者や外部機関が見た時に『信頼できる計画だ』と思ってもらえるよう、最後の一読(校正)を徹底しましょう。

② ロジックの整合性

「次に、一番の肝となる部分です。『目標』『手立て』『評価』が一本の線でつながっていますか?

●     目標:何ができるようになるか

●     手立て:そのために先生が何をするか

●     評価:目標が達成できたかどうか 例えば、目標が『挨拶』なのに、評価が『授業に集中できた』では繋がっていません。ここがズレると、指導の軸がブレてしまいます。」

③ 個別性の担保

最後に、一番注意したい点です。実態が違う生徒に、同じ目標や手立て、評価を使い回していませんか?また、作業学習や美術などの製作(制作)場面で用いられている手順書(工程表)の活用は、個別の指導計画でもよく目にする言葉ですが、長いスパンで行われている学習にも関わらず、最初に提示した手順書から全く変化がなく、結局覚えるまで教師がぴったりいている状態になっていませんか?

似たような課題を持つ子どもでも、その背景や得意なことは一人ひとり違います。コピー&ペーストではなく、目の前のその子の顔を思い浮かべながら、その子だけの言葉で紡いでください。同様に、手掛かりは、身体的なガイドや、指さし、手順書、言葉掛けなどのステップがあります。その生徒の実態を的確に捉えた上で、目標や手立てを検討することが大切になります。

 

書き手が上達する、精査する人が楽になる、何よりも子どもへの指導の根拠となる個別の指導計画を作っていきましょう!#06や#12も合わせて御覧ください。

#52 「余白」がないと、いい仕事はできません。(令和8年4月20日)

 前例を疑う勇気は、「ワクワク」にもつながります。

●  「先生、疲れてない?」と子どもに気付かれないために

 子どもたちは、私たちの心の揺れを敏感に察知します。先生が疲弊して、目が吊り上がっていたら、どんなに良い教材も届きません。だから、今年度は「大人のウェルビーイング(幸せ)」を追求します。

●  AIは「敵」ではなく、事務作業を任せる「相棒」

 指導計画や文書の「0→1」作成に、ぜひAIを使ってください。分校では、個別の指導計画を作成する際に、AIの活用を試みています。空いた時間で子どもと笑い合い、早く帰って家族とご飯を食べてください。「前例踏襲」という名の重石は、勇気を持って「これ、いります?」と声を上げてください。

●  心理的安全性の高い職員室を

 失敗しても大丈夫。意見が違っても大丈夫。「ぼちぼちいこか」の精神で、お互いのプライベートや強みを認め合えるチームでありたい。教職員の「ワクワク」が、子どもたちの未来を照らす一番の光になります。

#51 「先生によって違う」を、終わらせる。(令和8年4月13日)

 行動マトリクスは、子どもと「私たち」を守るためのツール。

・アンケートの「本音」に向き合って

 昨年度末のアンケート、しっかり読み込みました。一番多かったのは「指導観のズレ」への悩みでした。「A先生には怒られたけど、B先生はいいって言った……」。これでは子どもがパニックになるのも無理はありません。

・ポジティブに行こう

 本年度から導入する「行動マトリクス」は、子どもを縛るためのルールではありません。「ここではこうすればOK」を共有し、先生方が自信を持って「いいね!」と言える環境を作るためのものです。

・「見える化」は愛です

 特に小学部のルーティンや、中学部・高等部の働くルール。写真やカードを使って「見通し」を子どもたちにプレゼントしてください。言葉で何度も叱るより、一枚の写真やイラストが子どもを安心させることがあります。「叱らなくていい教室」を一緒に作っていきませんか。

 本校では「相手の顔を見てあいさつしよう」「笑顔でペコリしよう」が始まりました。早速、丁寧にあいさつしてくれる児童生徒が増え、嬉しいです。「小さなできた!」の積み重ねが大切だと考えています。

#50 20年後の彼らが、笑っていますように(令和8年4月6日)

子どもを真ん中に「伴走者」として歩み出す

・「ぼちぼち」と言いつつ、アクセルも踏みます(笑)

 新年度が始まりました。「今年度は、何が変わるの?」と不安な方もいるかもしれません。答えはシンプルです。「20年後の子どもたちの笑顔」のために、私たちの関わり方をアップデートしましょう。

・あの時、自分で選んだことが今につながっている

 昔は「できないことを、反復練習で克服させる(できるようにする)」ことに重きが置かれていました。20年後の未来を想像してみてください。科学技術の進歩により暮らしが大きく変わっている可能性が大です。そのような時代を生きる彼らに必要なのは、「やらされる力」ではなく、「自分で選ぶ力」です。

・教師は「教える人」から「コーチ」へ

 「さん付け」で呼び合い、一人の人間として尊重する。ICTなど言葉以外の方法も使いこなして、彼らの「言いたい!やりたい!」を支える。私たちは、彼らの人生の「最強の伴走者(コーチ)」としての役割が高まってきています。

#49 次期学習指導要領を見据えた「自立活動」のアップデート(令和8年3月23日)

~「資質・能力」を育むための、個別の指導計画の再定義~

次期学習指導要領に向けた議論が深まる中、私たち特別支援教育に携わる者にとって、その中核となるのはやはり「自立活動」の充実です。アンケートでも「ICF(国際生活機能分類)との関連」や「PDCAサイクルのスパン」について熱心な記述がありました。

 自立活動を、単なる「訓練」ではなく、子どもの「一生の資質・能力」に繋げるための視点を整理します。

1 「三つの柱」を自立活動に落とし込む

次期改定でも重視される「資質・能力の三つの柱」を、自立活動の文脈で捉え直してみましょう。

・知識及び技能:自分の障害の状態を理解し、どのような補助具や手立て(合理的配慮の要求を含む)が必要かを知っていること。

・思考力、判断力、表現力等:直面した困難に対して、「どうすれば解決できるか」を考え、他者に助けを求めたり、方法を調整したりできること。

・学びに向かう力、人間性等:失敗しても「次はこうしよう」と思える自己肯定感や、自立への意欲を持つこと。

2 「社会モデル」は医療モデルを内包したもの

アンケートに「ICFと自立活動の関連」という意見がありました。自立活動の目標設定において、ICFの視点は欠かせません。

・医療モデル:「歩けないから、歩けるように訓練する(身体機能の改善)」

・社会モデル(ICFの視点):「歩きにくくても、車いすや環境調整を使って、みんなと一緒に活動に参加できる(活動と参加)」

自立活動の目標を「機能の回復」だけに置くのではなく、その先の「社会の中で何ができるようになるか(参加)」に置くこと。これが、次期指導要領が求める「社会に開かれた教育課程」の第一歩です。

3 「自立活動の流れ図」を形骸化させない

「短時間で設定できる方法」を求める声もありましたが、大切なのは「書く作業」の速さではなく、「仮説の精度」です。

・実態把握(なぜできないのか?):身体的な要因か、感覚的な要因か、それとも環境の要因か。

・指導目標(どうなりたいのか?):1年後の姿だけでなく、18歳(卒業時)の姿から逆算できているか。

・手立て(何をするか?):学校の授業だけでなく、家庭や地域でも「般化」できる再現性のある手立てか。

 4 合理的配慮と「合意形成」のプロセス

次期指導要領では、合理的配慮の提供がより具体的に求められます。自立活動で身に付けた力が、そのまま「合理的配慮を自分で求める力(セルフアドボカシー)」へと繋がっていく。この一貫性が、個別の指導計画の質を高めます。

【自立活動の「PDCA」を活性化させる問い掛け】

・「その目標が達成されたとき、その子の『暮らし』はどう豊かになりますか?」

・「学校での特別な指導(自立活動)で学んだ内容をそれ以外の時間で使えていますか?」

・「この目標設定に、本人や保護者の『願い』はどれくらい反映されていますか?」

  自立活動は、私たち教師の専門性が最も発揮される領域です。「流れ図」を埋めることが目的にならないよう、常に「子どもの未来の姿」を職員室で語り合っていきましょう。

#48 明日から使える保護者への「般化」提案フレーズ(令和8年3月16日)

・「学校ではこの環境(写真等を見せる)で成功しています。ご家庭(学園)のこの場面なら、同じようにできそうでしょうか?」

・「お忙しい中で無理をさせては本末転倒ですので、まずは〇〇の場面だけ『見守る』ことから始めてみませんか?」

・「学校でのやり方を、ご家庭(学園)でもやりやすい形にアレンジしてみました。一度試して、難しければまた一緒に考えましょう。」

「般化」の成功は、教師の指導力だけでなく、保護者との「信頼関係の太さ」で決まります。共に悩み、共に喜ぶパートナーとして、歩みを揃えていきましょう。

#47「学校でできた!」を「家でもできた!」へ繋ぐために(令和8年3月9日)

~家庭への般化を、子どもの『一生の力』にする視点~②

2 「家庭の事情」を情報の中心に据える

アンケートには「家庭=施設の場合の般化」についての悩みもありました。家庭環境は千差万別です。学校の理想を押し付けるのではなく、「その家(施設)のルーティン」に私たちが歩み寄る必要があります。

・「何ならできそうですか?」と問う: 「これをやってください」という依頼ではなく、「今の生活の中で、無理なく組み込めるタイミングはありますか?」と、生活の質(QOL)を壊さない提案を心掛けましょう。

・般化の優先順位を決める: 全てを家でやるのは不可能です。「これだけは一生の自立に繋がる」という一点(例:着替えの最後だけ自分でやる、など)を保護者と合意することが大切です。

 3 PDCAサイクルのスパンを「18歳」に合わせる

アンケートで「18歳での社会参加に対してPDCAのスパンが長い」という鋭い指摘がありました。単年度の計画で終わらせず、数年先を見越した「般化のロードマップ」を保護者と共有しましょう。

長い目で見守る:今すぐ家でできなくても、「今は学校で確実に成功する時期。来年にはこれを家で試しましょう」という見通しを伝えることが、保護者の安心感(心理的安全)に繋がります。

#46「学校でできた!」を「家でもできた!」へ繋ぐために(令和8年3月2日)

 ~家庭への般化を、子どもの『一生の力』にする視点~

2学期のアンケートで、「家庭への般化」についての記事に多くの「なるほど!」をいただきました。特に卒業を控えた高等部だけでなく、全ての学部において「学校という特別な環境での成功」を「日常の暮らし」へどう移し替えるかは、私たちの最も重要な使命の一つです。#25、26と合わせてお読みください。

今回は、保護者と私たちが「同じ方向」を向くための3つのヒントを整理します。

1 「学校は練習、家庭は本番」という視点

学校は、環境が整えられた「特別な練習場」です。スモールステップで成功体験を積むには最適ですが、そこでの成功がゴールではありません。

・環境の差を認める: 学校でできることが家でできない時、それは「甘え」ではなく「環境(構造化や人的支援)が違うから」です。

・家庭での『再現性』を考える: 指導計画を立てる際、「これは家のリビング(施設)でもできる方法か?」「お母さん・おばあちゃん、施設職員でも無理なくできる手立てか?」を常に自問自答してみましょう。(次回へ続く)

#45 激変する社会の中で、自らをアップデートし続ける②(令和8年2月24日)

~「教員のメタ認知」が子どもの未来を拓く~

2 「メタ認知」という羅針盤を持つ

変化の激しい時代において、私たち教員に求められる最も重要な専門性。それが「メタ認知」です。 メタ認知とは、「自分自身の思考や行動を、客観的に把握し、制御すること」を指します。

・感情のメタ認知:「今、私はあの子を諭そうとしているのか? それとも自分のイライラをぶつけようとしているのか?」

・指導のメタ認知: 「この『さん付け』は、形式的になっていないか? 心からの敬意が声の温度に乗っているか?」

・ 組織のメタ認知: 「同僚との意見の相違を、単なる『否定』と受け取っていないか? チームで子どもを守るための『視点の共有』として捉えられているか?」

このように、もう一人の自分が天井から自分を見つめるような視点を持つことで、私たちは「感情的な反応」を「教育的な対応」へと昇華させることができます。

3 変化を楽しむ「学び続ける集団」へ

アンケートでいただいた「素敵な職場の雰囲気づくり」への回答も、ここに行き着きます。 素敵な職場とは、全員が同じ意見を持つ場所ではありません。「自分の今の姿(指導)を客観的に見つめ、必要なら変えていく勇気」を、お互いに認め合える場所です。

 まずは私たち大人が「自らを客観視し、学び続ける姿」を子どもたちに見せることから始まります。

 私たちの「声の温度」が変わり、「問いかけ」が豊かになり、教員同士が「メタ認知」の結果を語り合えるようになったとき、学校は子どもたちにとって、より一層「安心できる、挑戦できる場所」へと進化していくはずです。

#44 激変する社会の中で、自らをアップデートし続ける①(令和8年2月16日)

~「教員のメタ認知」が子どもの未来を拓く~

これまで「さん付け」呼称の徹底や「声の温度」への配慮、そして「指導観のズレ」をチームの強みに変える対話について発信してきました。これらは単なるマナーの改善ではなく、今、私たちが向き合っている「社会の劇的な変化」に対応するための不可欠なアップデートです。

1 「かつての正解」が通用しない時代

私たちが子どもだった頃の「当たり前」は、今の社会では通用しなくなっています。かつては「厳しさ」や「集団への同調」が美徳とされる側面もありました。しかし、今の社会が求めるのは、「多様な他者との協調」であり、「自律的な思考」、そして何より「一人ひとりの人権の尊重」です。

学校は、子どもたちが将来の社会へ羽ばたくための「準備の場所」です。だからこそ、私たち教員の指導観も、社会の変化に合わせて常にアップデートされなければなりません。「昔はこれでうまくいったから」という過去の成功体験に縛られることは、時に現在の子どもたちの生きづらさを生んでしまうリスクを含んでいる場合があります。(つづく)

#43 指導を「メタ認知」するということ(令和8年2月9日)

 今回のキーワードは「メタ認知」です。 授業中、あるいは子どもを指導している最中に、もう一人の自分が天井から自分を見下ろしているような感覚を持ったことはありますか?

•「今、自分は『さん』付けで呼んでいるけれど、声にイライラが乗っていないか?」

•「『ダメ』と言いそうになった今、なぜ自分は否定的な言葉を選ぼうとしたのか?」

 このように、自分の感情や言動を、一歩引いて客観的に観察すること。これが教員のメタ認知です。

・「さん付け」と「声の温度」は、自分の心を知るバロメーター

 #38、#39で「さん付け」の徹底や「声の温度」について書きました。これは単なるマナーやルールではありません。実は、呼び方やトーンを意識することは、自分自身の「心の余裕」を測るセンサーになります。「あ、今、語尾が下がって威圧的になったな」と気付くことができれば、そこから修正が可能です。気付かなければ、それは指導ではなく「感情の放出」になってしまいます。

・チームでのメタ認知:問いかけは「ギフト」

 自分一人で自分を客観視するのは限界があります。だからこそ、チームが必要です。#42のヒント集に載せた「今の場面、あの子にはどう伝わったと思いますか?」という問い掛け。これは相手を責める「指摘」ではありません。相手が見落としているかもしれない視点を贈る「ギフト」です。「あ、そう見えていたのか」という気付きこそが、私たちの専門性を高めるメタ認知の瞬間です。(つづく)

#42 指導観のズレを「チームの強み」に変えるには~マルトリートメントを防ぎ、誰もが安心できる教室・職員室へ~③(令和8年2月3日)

【保存版】チームの空気を変える「問いかけ」ヒント集

シーン 相手への問いかけ・フレーズ例
指導が強すぎる時 「先生、お疲れではないですか? さっきの場面、あの子が少し驚いて固まっていたのが気になって…。」
納得がいかない時 「先生のやり方だと、あの子にはどんな変化が見られますか? 私も参考にさせてください。」
判断に迷う時 「今の関わり、あの子にはどう伝わったと思いますか? 一緒に振り返らせてもらえませんか?」
チームで守る時 「余裕がない時はお互い様。そんな時、どう合図を出し合えばお互い(と子ども)が助かるでしょうか?」

こうしたフレーズを使うのは、勇気がいることです。特に経験の浅い先生にとっては、先輩に声を掛けるのは至難の業かもしれません。だからこそ、以下のことを職員室の「約束事」にしていきたいと考えています。

· 「指摘」ではなく「情報の共有」と捉える:「あなたの指導はダメだ」という否定ではなく、「私には子どもがこう見えた」という情報のシェアだと捉えてください。視点が多いほど、子どもの理解は深まります。

· 「問いかけ」を歓迎する文化を:もし同僚から「今の関わり、どうでした?」と聞かれたら、それはあなたを責めているのではなく、チームで子どもを守ろうとしている証拠です。その勇気に感謝できる集団でありたいと思います。

· まずは管理職を練習台に:もし私をはじめ管理職の関わりで気になることがあれば、ぜひこれらのフレーズを使って教えてください。「校長先生、今のあの子の表情見ました?」と言ってもらえるのを待っています。 

#41 指導観のズレを「チームの強み」に変えるには~マルトリートメントを防ぎ、誰もが安心できる教室・職員室へ~②(令和8年1月28日)

2 「教室マルトリートメント」をチームで防ぐ

 「指導」という名の下で行われるきつい口調や威圧的な態度は、子どもの脳にダメージを与えるだけでなく、学級全体の心理的安全性を損ないます。これを防ぐには、個人の資質に任せるのではなく、「チームで風通しを良くする」しかありません。

• 「問い」で対話を始める: 同僚の指導に疑問を感じた時、「それはダメです」と否定すると角が立ちます。代わりに、「今の場面、あの子にはどう伝わったと思いますか?」と、あえて問いとして投げ掛けてみてください。相手に「振り返り」のきっかけを贈る勇気が、教室の空気を変えます。

• 「弱さ」を見せ合える関係: 「今日は余裕がなくて、つい口調が強くなってしまった」と、先生自身が失敗を共有できるチームは強いです。その一言が、周囲のサポートを引き出し、不適切な指導の連鎖を断ち切ります。

3 素敵な職場の雰囲気は、子どもの笑顔の鏡

 アンケートに「素敵な職場の雰囲気作りについて知りたい」という声がありました。素敵な職場とは、全員の意見が一致する職場ではありません。「意見が違っても、敬意を持って対話できる職場」です。

私たちの関係性がギスギスしていれば、子どもはそれを敏感に察知します。逆に、先生たちが助け合い、笑い合っている学校では、子どもたちも安心して自分を出すことができます。(次回へ続く)

#40 指導観のズレを「チームの強み」に変えるには~マルトリートメントを防ぎ、誰もが安心できる教室・職員室へ~(令和8年1月26日)

2学期のアンケートでは、多くの熱心な意見をいただき、ありがとうございました。その中で、私の心に残った切実な声があります。それは、「先生によって指導の口調や考え方が異なり、戸惑うことがある」「教室でのきつい指導を見かけると苦しくなる」というものです。

特別支援教育は、正解が一つではありません。だからこそ、現場で起こる「指導観のズレ」にどう向き合うかが、私たちの専門性を左右します。

1 「正しさ」のぶつかり合いから「子どもの反応」へ

私たちは皆、「子どものために」という強い熱意を持っています。しかし、その熱意ゆえに「自分のやり方こそが正しい」と、正しさのぶつかり合いが起きてしまうことがあります。そんな時こそ、主語を「私」から「子ども」に入れ替えてみませんか。

•        「私の指導に従わせる」ではなく、「今の関わりで、あの子に安心感(または学び)は生まれているか?」

•        「あの先生のやり方は違う」ではなく、「あの関わりに対して、あの子はどう反応したか?」

「子どもの事実」を共通の物差しに据えることで、感情的な対立ではなく、建設的な「検討」が始まります。(次回へ続く)

#39「伝わるのは『言葉』以上に『声の温度』」〜安心感を与える関わりについて〜(令和8年1月20日)

  前号では「さん」付け呼称をお伝えしました。今号では、私たちがさらに意識している「声の大きさ」や「抑揚(トーン)」、つまり「伝え方」について触れます。

1 感情をぶつけない「適切なボリューム」

人権に配慮した指導の第一歩は、子どもの恐怖心を煽らないことです。大きな声で怒鳴ることは、一時的に子どもを従わせることはできても、心の奥に届く「納得」や「自己肯定感」を奪ってしまいます。

〇 人前で叱らない: 必要な指導は、相手のプライバシーに配慮し、落ち着いたトーンで静かに伝えます。

〇 安心の距離感: 威圧感を与えないよう、目線を合わせ、適切な声の大きさで語り掛けることを職員間で徹底します。

2 「肯定」を乗せる抑揚(トーン)の工夫

同じ「さん」という呼び方でも、語尾が上がれば「期待」になり、語尾が下がれば「威圧」になります。

〇 「褒める」は明るく、弾むように: 子どもの「できた!」に共鳴するよう、声に表情をつけて喜びを伝えます。

〇 「諭す」は穏やかに、低く: 何がいけなかったのかを考える場面では、感情を抑えた一定のトーンで話すことで、子どもが冷静に自分の行動を振り返る「心の余裕」を生み出します。

3 「否定の言葉」を「お願いの言葉」へ

「ダメ!」「やめなさい!」という鋭い響きは、子どもの思考を停止させてしまいます。さんを付けた上で「〜してくれると助かるな」「〜するともっと良くなるよ」といった、語尾を柔らかくしたメッセージに変えることで、子どもは「自分を否定された」のではなく「行動のヒントをもらった」と受け止めることができます。

#38 「一人ひとりを尊重し、自信を育む学校へ」〜『さん付け』から始まる新しい関わり〜(令和8年1月16日)

 先日の学校評価と職員会議では、「児童生徒一人ひとりの人権を尊重し、自己肯定感を高める指導」を教育の柱として再確認しました。子どもたちが「自分は大切にされている」「自分には良いところがある」と実感できる環境づくりの一環として、学校生活における「さん付け」呼称を徹底します。

 なぜ今、「さん付け」なのか。

1 「尊重」を形にする第一歩

 子どもたちを一人の人間として尊重し、敬意を払う。これは人権配慮の基本です。 日常の何気ない呼び方から見直すことで、教職員と子どもたち、あるいは子ども同士の間にも、温かく、適切な距離感のある礼儀正しい関係性を築いていきたいと考えています。教師は子どもたちのモデルです。子どもの前で教師間が声を掛け合うときは「先生」と呼ぶことも同様です。

 

2 「褒める言葉」を真ん中に置くために

 私たちは、指導の原則を「指示・命令」から「承認・称賛」へとシフトしていきます。 「〇〇しなさい」と先回りするのではなく、子どもが自ら気付いて行動するのを待ち、その過程や努力を「さん」と呼んで丁寧に認める。そんな「褒める言葉」が溢れる学校を目指します。

 

3 社会へのつながりと「自己肯定感」

 学校は、子どもたちが社会へと羽ばたく準備をする場所です。 相手を尊重する呼び方を習慣化することは、将来の社会生活における基盤となります。自分の名前が丁寧に呼ばれる経験の積み重ねは、「自分は認められている」という自己肯定感に直結し、それが得意なことを伸ばすエネルギーに変わっていきます。(次回へ続く)

#37 初任者授業研で感じたこと(令和7年12月16日)

◇ できる状況づくりについて

・全体への分かりやすい指示、十分な学習量が保たれている(待たされている生徒がいない!)。また、一つの曲を題材に様々な角度からアプローチし、目標に迫る指導は知的障がいのある生徒の学習上の特性を踏まえると効果的であり、「活動の質」を高める上で、多くの教員が参考になる。

・「そう!」「きれい」「すてき」「ばっちり」などポジティブな言葉のオンパレードは、子どもたちのモチベーションアップにつながる。

・MTのポジショニングは生徒全員を見渡せる位置が理想。10名ほどの生徒を横一列に着席させるなら、1メートルほど距離をとるか、扇形に座らせた方がよい。

◇ 指導・支援の在り方について

・授業の終末で、MT教師が振り返りの見本を示したことにより、生徒の発言も目標に関連した振り返りになっていた。Aさん「元気よく」Bさん「静かに」Cさん「楽しく」などの発言は、和音Ⅰ、Ⅳ、Ⅴのキーワードであり、本時の目標を達成した根拠になるのではないか。

・STからの振り返りも、本時の目標を取り上げながら、生徒の具体的な姿を評価していて素晴らしいと思った。

◇ 学びの連続・般化

・単元計画を立案することの大切さを感じた。

・活動内容に惑わされず、指導内容を突き詰めていくことの大切さを感じた。

・子ども自身が楽しいと思う授業が増えることが、余暇や家庭生活の充実につながる。

#36 特別支援学校の課題を考える(令和7年12月1日)

 #17でも触れましたが、全国の現状から次のようなことが課題として示されています。

【学校経営・授業改善では】

・障害の「社会モデル」の考え方も踏まえた学校経営や授業づくりが特別支援学校にも求められているが、全ての教師に考え方が浸透しているかどうかについては課題がある

・障害により生じる困難さに対応しつつ、子供たちの資質・能力を育成するための授業づくり、各教科等の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善は、多くの特別支援学校において道半ばの状況

【自立活動では】

・自立活動の時間の指導と各教科等の指導の関連付けや、自立活動に係る実態把握から指導目標・内容の設定までのプロセスや考え方の浸透が不十分

・教師主導型の自立活動の改善も課題

【知的障がいの各教科】

・小・中・高の学びとの連続性の確保を図りつつ、知的障害の特性や発達の段階等を踏まえた対応が必要

 

 本校・分校とも学校評価や年度末反省の時期を迎えました。「チームで子どもたちのために」こうした視点も含めて検討してほしいと考えています。

#35 #27褒め方を工夫する×#34言語活動の充実を考える(令和7年11月25日)

 今年度の重点のひとつに、「保護者や地域と直接の関わりによる、子どもたちの学びの機会を広げ、感謝を伝え合う教育活動の推進」があります。

 本校高等部では、学校運営協議会での御意見を踏まえ、地域食堂や沖縄民謡など、地域の方との連携に基づいた教育活動が充実してきています。

 この取組の良いところは、活動の振り返りが充実していることです。活動をやって終わりではなく、地域の人から(感謝や激励の)メッセージをもらったり、生徒がお礼を書いたりするなど、感謝を伝え合う活動になっています。

 この方法はさらに進化し、高等部祭の時には、保護者や地域の方の感想を動画に撮って事後学習に用いるほか、小学部や中学部の学習発表会でも同様の取組を行っています。文字を見て分かる子どももいれば、映像を見れば分かる子もいて、個別最適な学び(指導の個別化)が図られています。

 #27でも触れましたが、多様な人から多様な方法で称賛されることで、子どもの自己肯定感は高まります。#34を充実させる上で、伝えたいというマインドが育ち、書いたり、話したりすることへの意味付けが出てきます。

 知的障がいのある子どもの学習上の特性に配慮した、生活に結びついた内容であること、繰り返しの学習であることなど、本事例から多くのことを学ぶことができます。掲示物などを使って子どもと関わり、言語能力が高まることを期待しています。

#34 言語活動の充実を考える(令和7年11月17日)

 言語活動の充実を図る上で、大切なことは、その前提となる言語環境を整えることです。 学校生活全体における言語環境の整備としては、例えば、教師との関わりに関係することとして

①教師は正しい言葉で話し、黒板などに正確で丁寧な文字を書くこと

②校内の掲示板やポスター、児童生徒に配布する印刷物において用語や文字を適正に使用すること

③適切な言葉を使って簡潔に分かりやすく話すこと

④より適切な話し言葉や文字が用いられている教材を使用すること

⑤教師と児童生徒、児童生徒相互の話し言葉が適切に行われるような状況をつくること

⑥児童生徒が集団の中で安心して話ができるような教師と児童生徒、児童生徒相互の好ましい人間関係を築くことなどに留意する必要があります。

 本校・分校とも学習発表会に合わせて、②校内掲示なども充実しています。掲示物を使って⑤や⑥などに取り組み、言語活動が充実することを期待しています。